海岸保全施設としての砂浜の整備や管理について話し合われた

国土交通省は2日、「津波防災地域づくりと砂浜保全のあり方に関する懇談会」の第2回会合を開催した。消波効果のある砂浜の海岸保全施設の指定に向け、砂浜の価値を示すため便益評価手法を提案。施設投資計画台帳を作り、費用対効果を見える化する方法が示された。

堤防にぶつかる前に波を弱めるなど、砂浜には海岸防護効果がある。しかしダムや堰(せき)の増加で川から海に流れる砂の減少や港湾整備による海での砂の流れの変化、台風の増加といった複合的な要因により、全国的に砂浜は減少傾向にある。1999年の海岸法改正により、堤防や護岸同様に砂浜を海岸保全施設として指定することが可能となった。しかし指定の要件や管理についてわかりにくい点もあり、まだ指定された砂浜はない。

指定にあたって海岸保全施設の機能を証明できるものとして、海岸の断面形状を設定。測量で条件となる形状をクリアすれば指定できるよう提案がなされた。また指定後の砂浜の点検についてはカメラによる定点観測や、陸地と低潮線が交わる汀線をハンディGPSによる計測などを行う方針。

便益評価では砂浜が持つ防災や観光といった価値を算出。投資計画をたてる際に便益項目と費用項目を記述する台帳を作り、年ごとに生まれる便益と整備や維持管理といった費用を記入していく。利益の最大化に向けベストな施策の組み合わせを考えていく。価値について、例えば観光資源としては利用客数と砂浜面積から計算。利用客数に1人当たりのレクリエーション利用金額を乗じ、面積で割ることで単位面積当たりの価値を算出する。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介