地政学的リスクに注意しながら気候リテラシーを磨く
第4回:気候問題をかわし、否定する人々
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■否定する自分に自信を持ちたい?
いまや情報ツールの王道をゆくスマートフォンは、ある意味「自分の信じたい情報に人を誘導するツール」であると言えます。この「自分の信じたい情報」には2つの意味があります。「肯定・支持したい情報」という意味の場合と「否定・反対したい情報」の意味の場合です。
どちらの場合も、自分の信念を支える一次情報だけでは飽き足らず、二次、三次の情報を探し当てたくなるのが人情というもの。そしてそれらの情報は、SNSなどに山のようにあふれています。
しかしこれは、スマートフォンに限ったことではありません。テレビのニュースや、本や雑誌、新聞を読むときでも同じことが起こります。例えばあなたが、北極探検家の書いたノンフィクションの中で、次の一節に出会ったとします。
「世の中、地球温暖化が止まらないと騒いでいるけど、自分が見たホッキョクグマはマルマルと肥えていたし、氷が溶けて住処が奪われて困っている様子でもなかった。もっとも、自分の見た光景は広大な北極のほんの一コマなのだが」
このとき、地球温暖化を認めたくない人は、前半部分の「地球温暖化が止まらないと騒いでいるけど、自分が見たホッキョクグマはマルマルと肥えていたし、氷が溶けて生息地が奪われて困っている様子でもなかった」に着目し、これを温暖化は嘘であるとの根拠とするでしょう。
一方、温暖化を肯定する人は、後半の「自分の見た風景は広大な北極のほんの一コマなのだが」に着目し、温暖化の影響を免れている無事なシロクマもまだ少しはいるのだと、少し安堵するでしょう。
ところで「否定」と似た言葉に「否認」という言葉もあります。単に「NO」と言うのではなく「事実として自分は認めない」ということです。ウィキペディアには「人がそれを受け入れるにはあまりにも不快な事実に直面した際に、圧倒的な証拠が存在するにも関わらず、それを真実だと認めず拒否することである」と解説されています。
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