2020/09/14
2020年8月号 豪雨対応
多発する自然災害や、事故、不祥事など、企業を取り巻くリスクは複雑かつ多岐にわたる。こうしたさまざまなリスクを想定し、BCP やリスクマネジメント活動に取り組んできた企業は少なくない。しかし、新型コロナウイルス感染症は、またも多くの組織に「想定外」をもたらした。そのリスクは現在進行中でこの先も不透明だ。企業は未曾有の脅威にいかに対処していけばいいのか。リスクマネジメントの専門家である関西大学社会安全学部教授の亀井克之氏に聞いた。
新型コロナウイルス感染症に対して、企業は、とても頑張っていると思います。しかし、運命的にどうしようもない業界があるのも確か。それは観光や旅行業界です。これは国として政策的に助けないといけない。例えば、倒産した企業の人材を他で受け入れるとか、集中的に財政支援を行うことが必要な段階でしょう。
これまで国は、海外から人を呼び入れるインバウンド施策に力を入れ、訪日観光客はここ数年飛躍的に増えてきました。さらに今年開かれるはずだった東京2020大会に向けた期待も高まり、積極的に投資してきた企業も少なくありません。それが突然、今回のコロナでゼロになったわけですから、とても厳しい状況であることが推測されます。
観光業の中には、老舗旅館や地域社会に根差してきた伝統企業もある。こうした企業を守ることは、日本の文化そのものを守ることですから、日本社会全体のリスクマネジメント、いわばソーシャルリスクマネジメントの取り組みが重要になります。
多くの企業は自助として在宅に切り替えたり、対面サービスをなるべく避けるなどの努力を続けています。さまざまな工夫がなされ、テレワークやWeb会議などへの切り替えが一気に進みました。しかし、自助だけでコロナに立ち向かうには限界があるということです。観光・旅行業だけでなく、飲食やエンターテインメントなどもそうですが、業界全体として助け合う共助と、国や自治体からの支援という公助が必要です。
2020年8月号 豪雨対応の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方