2020/04/30
独自調査
リスク対策.comは、新型コロナウイルスへの企業の対応状況を明らかにするため、2020年1月から3月まで3回にわたり、緊急アンケート調査を実施した。その結果、国内感染の広がりを追うかのように、対策が強化されている様子が顕著に表われた。一方で、そもそもの感染症計画が準備されていなかったり、教育・訓練も行われていなかったなどの課題も明らかになった。
アンケートの対象は、リスク対策.comのメールマガジン購読者で、組織の総務またはBCPに携わる人とし、各回とも400程度の回答を得た。
回答者の組織規模は101~500人が最も多かったが、中小企業から大企業に至るまで、さまざまな層から回答を得た。業種では製造業が突出して高かった。
初回の1月27日から始めたアンケートは、国内での感染者がまだ数人だった時点である。2月17日から始めた2回目のアンケートは国内の感染者が66人にまで増えた時点。さらに3月9日からのアンケートは国内感染者が521人と、初めて500人を突破した時点から行ったものである。
3回の調査で一貫して聞いた項目は、現在行っている対策のレベルで、①従業員対策、②業務面での対策、③事業所の対策、④体制面の対策、⑤感染者が発生した際の対応面での対策、⑥教育・訓練の6項目に分けて聞いた。
質問の方法は、一つ一つの対策について、1. 特に何も考えていない、2. 実施したいが現時点では未実施、3. 実施しているが徹底できていない、4. 徹底して実施している、の4段階での評価をしてもらった。
その結果、全項目について、1回目、2回目の調査に比べ、3回目では対策が大幅に強化されている傾向が明らかになった。感染予防の基本となる手洗いや手指消毒、マスク着用など、基本的な感染予防策も国内感染状況を追うように対策が強化されていて、発生当初はこうした予防策も徹底されていなかったことが浮き彫りになった。
下記のグラフは、全ての質問について、第2回と第3回の調査結果を比較したもの。第2回と第3回の差が大きな項目を見ると、①従業員対策として、出勤前の体温測定、テレワークへの切り替え、時差出勤などの勤務時間の変更、休暇の推奨、②業務対策として、セミナー参加の自粛・禁止、セミナー主催の自粛・禁止、国内出張の自粛・禁止、外国への出張の自粛・禁止、社内対面会議の自粛、社外対面打ち合わせの自粛・禁止、③事業所の対策として、来客の自粛呼びかけ、などで実施率が高まっていることが分かる。
独自調査の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方