リスク対策.comは、新型コロナウイルスへの企業の対応状況を明らかにするため、2020年1月から3月まで3回にわたり、緊急アンケート調査を実施した。その結果、国内感染の広がりを追うかのように、対策が強化されている様子が顕著に表われた。一方で、そもそもの感染症計画が準備されていなかったり、教育・訓練も行われていなかったなどの課題も明らかになった。

アンケートの対象は、リスク対策.comのメールマガジン購読者で、組織の総務またはBCPに携わる人とし、各回とも400程度の回答を得た。

回答者の組織規模は101~500人が最も多かったが、中小企業から大企業に至るまで、さまざまな層から回答を得た。業種では製造業が突出して高かった。

初回の1月27日から始めたアンケートは、国内での感染者がまだ数人だった時点である。2月17日から始めた2回目のアンケートは国内の感染者が66人にまで増えた時点。さらに3月9日からのアンケートは国内感染者が521人と、初めて500人を突破した時点から行ったものである。

3回の調査で一貫して聞いた項目は、現在行っている対策のレベルで、①従業員対策、②業務面での対策、③事業所の対策、④体制面の対策、⑤感染者が発生した際の対応面での対策、⑥教育・訓練の6項目に分けて聞いた。

質問の方法は、一つ一つの対策について、1. 特に何も考えていない、2. 実施したいが現時点では未実施、3. 実施しているが徹底できていない、4. 徹底して実施している、の4段階での評価をしてもらった。

その結果、全項目について、1回目、2回目の調査に比べ、3回目では対策が大幅に強化されている傾向が明らかになった。感染予防の基本となる手洗いや手指消毒、マスク着用など、基本的な感染予防策も国内感染状況を追うように対策が強化されていて、発生当初はこうした予防策も徹底されていなかったことが浮き彫りになった。

下記のグラフは、全ての質問について、第2回と第3回の調査結果を比較したもの。第2回と第3回の差が大きな項目を見ると、①従業員対策として、出勤前の体温測定、テレワークへの切り替え、時差出勤などの勤務時間の変更、休暇の推奨、②業務対策として、セミナー参加の自粛・禁止、セミナー主催の自粛・禁止、国内出張の自粛・禁止、外国への出張の自粛・禁止、社内対面会議の自粛、社外対面打ち合わせの自粛・禁止、③事業所の対策として、来客の自粛呼びかけ、などで実施率が高まっていることが分かる。