鳥山川での実証実験に用いられている水位計の1種

国土交通省は中小河川の水位観測強化へコストを抑えた水位計普及を図る。21日、「危機管理に対応した水位観測検討会」の第1回会合を神奈川県横浜市の京浜河川事務所新横浜出張所で開催した。低価格水位計の最低限決めておくべき基準について検討を進める。

水位計はオーダーメイドであったり、専用回線を敷設する必要があったりなど、設置に数千万円のコストがかかることが多い。このため都道府県や市町村が管理する中小河川での導入が進んでいない。例えば2016年の台風10号で大被害を受けた岩手県では水位観測所数は82カ所あるが、管理河川数が312河川に対し、水位観測所未設置は245河川。雨量計を含むシステム全体の年間の維持管理費用は5400万円。観測所設置費用は1カ所あたり2000万円という。

この日の会合では水位計の低コスト化、長寿命化、メンテナンスフリー化に向け、運用体制、観測設備、技術基準、データ整理、データ形式、システム運営について決めておくべき事項を国交省が提示。水位の計測制度は1cm単位とするのか、水位の観測頻度や洪水時・平常時のデータ送信頻度、データの形式、データ送信に二重化を求めるかなどが事項として挙げられた。

出席した委員からは「データ整理は一律ではなく河川によって変えてもいいのでは」「堤防の整備状況なども基準には影響する」「データ送信二重化は大河川ではすべきだが、中小河川では必ずしも必要ないのでは」といった、河川規模や場所の特性に応じた対応も必要との意見が出た。

国交省ではこの会合が行われた出張所そばにある鳥山川で、100万円以下の水位計を用いた実証実験も行っている。また都道府県に水位計の総点検と回答も求める方針。検討会では12月に低価格水位計の基準案をまとめる方針。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介