2017/09/14
防災・危機管理ニュース

文部科学省が中心となっている政府の地震調査研究推進本部は13日、「新総合基本施策レビューに関する小委員会」の第4回会合を開催。現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における海溝型地震や津波の予測、活断層の調査研究などの実績のほか今後の方向性について話し合われた。
現・総合基本施策である「新総合基本施策」は2009年に策定。2011年の東日本大震災を経て、2012年に改訂された。2012年の改訂では主に海域での津波観測に注力する旨が付加された。次期総合基本施策は2018年度に取りまとめ、2019年度から適用する。このため現・総合基本施策で取り組むべきとされた各分野について、実績の精査や今後の課題発見を行っている。
13日は主に今後の方向性について話し合われた。海溝型地震や津波の予測では、現・総合基本施策で海域観測網として南海トラフ沿いの「DONET」を約192億円、日本海溝沿いに「S-net」を約324億円かけて整備。今後、高知県沖から日向灘にかけての南海トラフ西側にもさらに整備を進める。
会議では将来を見すえ、コストのかかる観測網の整備について議論。国家予算が厳しい状況も踏まえ「予算をかける以上、成果のイメージをしっかり伝えられるようにしないといけない」「何がどのくらい災害のダメージを減らすことに役にたっているのか、示せないと納得を得難い」など、予算をかけるだけの根拠を出せるようにする必要があるとの意見が相次いだ。
活断層については地域別に活断層で発生する地震を総合的に評価する「地域評価」を導入し、関東、中国、九州でとりまとめたほか、主要活断層帯の評価も実施。対象は2月時点で113本。うち39本は評価を公表している。今後10年間で、活断層の従来手法と今後の高度化する調査研究の関係性、活断層評価で得られる情報の利活用促進が課題になるとの論点が出された。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- 文科省
- 地震調査研究推進本部
- 海域観測
- 南海トラフ
- 活断層
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方