AED使用など市民の応急手当の重要性が話された

東京都は8日、都庁で「救急の日」シンポジウムを開催した。9日の救急の日に合わせたイベント。「応急手当で救える命―もっと安全、もっと安心な東京」をテーマに、東京慈恵会医科大学救急医学講座主任教授の武田聡氏が基調講演。パネルディスカッションも行われた。

武田氏は心臓突然死や心肺蘇生法について解説。2015年に一般市民2万4496人が心肺機能停止を見かけたうち、1103人しかAEDを使っていなかったというデータを指摘。「心肺停止時はとにかく早くAEDを使わないといけない」と説明した。また、2011年のさいたま市で駅伝練習をしていた小6女児の死亡事故を教訓に、日本蘇生協議会(JRC)蘇生ガイドライン2015で呼吸がないかわからない場合も胸骨圧迫(心臓マッサージ)とAED使用に進むよう明記されたことも紹介。早い適切な行動の重要性を呼びかけた。

シンポジウムでは東京消防庁救急部救急指導課課長補佐の小泉明氏が救急車の現場到着時間が2017年は2009年比で1分12秒遅い7分30秒に達していることを紹介。そばにいる人の応急手当が重要だと説明した。2016年の「消防に関する世論調査」では、できる応急手当について「声をかけて励ます」は79.0%だが「AEDの使用」は31.7%、「胸骨圧迫」27.3%、「人工呼吸」20.3%にとどまっている。一方で「アドバイスを受ければ応急手当ができるか」という質問で「できる」は25.4%だが、「ていねいに説明してくれれば実施するつもりであり」が58.3%の回答だった。小泉氏は応急手当のアドバイスのほか、東京消防庁が一定数の救命講習受講者数がいる事業所など団体に優良証を交付する「応急手当奨励制度」の紹介も行った。

またシンポジウムに先立ち、救急医療関係功労者等知事感謝状贈呈式が行われた。受賞者は下記の通り。

【個人の部】
高山 守正 氏(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 副院長)

【医療機関の部】
医療法人社団日心会 総合病院一心病院
医療法人社団青葉会 一橋病院
医療法人社団けいせい会 東京北部病院

【団体の部】
一般社団法人荒川区医師会
一般社団法人東京都武蔵村山市歯科医師会

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介