2017/08/31
防災・危機管理ニュース
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大和ハウス工業は29日、住宅購入検討者を対象にした防災意識と実態に関する調査を実施した。回答者数は男性518人、女性517人の1035人。 地震に対する不安は昨年より高くなっているものの、3人に1人は家族間で防災に関する情報が共有されてなく、85%が家族で避難訓練に参加したことがない、女性の約4割は防災訓練に参加したことがない、などの結果が出た。
防災と聞いて思い浮かべるものを聞くと「地震」(98.0%)、「台風」(72.8%)、「豪雨」(67.7%)の順となった。災害を想定して防災の準備をしているものは「地震」(55.8%)、「台風」(20.2%)、「豪雨」(15.0%)、「あてはまるものはない」(37.2%)と、何も準備していない人が4割近くいた。
認知率・準備率ともに高い「地震」の備えについて、エリア別に防災準備率を見ると「関東」が72.3%、「北海道」が39.5%、「九州・沖縄」が41.9%となった。住んでいる地域で将来発生する可能性のある大規模地震に対しどの程度不安を感じているかと聞くと、3人に1人は「とても感じている」(36.9%)と答え、「やや感じている」(44.6%)を加えると81.5%が地震に対して 「不安」を感じていた。2016年の調査では75.9%が「不安」と答えていて、昨年よりも不安を感じる人が増えた。
防災のために実践していることは「携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備」(52.7%)、「食料や飲料水を準備」(49.7%)、「地域指定の避難場所を確認」(32.4%)が上位にあがった。昨年と比較すると「自宅や家財を対象とした地震保険に加入」(2016年 23.2%→2017年 19.0%)、「家具・家電などを固定し転倒・落下・移動を防止」(2016年 32.5%→2017年 29.2%)など、ほとんどの項目で実践率はわずかながらも低下している。
災害が起きた時、真っ先に心配する相手は誰かと聞くと「同居する子ども・孫」(41.8%)が最も多く、次いで「配偶者・恋人」(21.9%)、「自分のこと」(17.8%)の順となった。
家族と同居している人 941人を対象に、災害が起きたときの対策について、同居する家族と共有できていることを聞くと「避難場所」(48.0%)、「防災 グッズの場所」(32.8%)、「連絡方法」(25.5%)、「避難ルート」(16.4%)の順となり、3人に1人は「いずれも共有していない」(34.5%)と回答。家族と共有していない割合をエリア別で見ると、「関東」(21.5%)や「近畿」(27.3%)は低いのに対し、「中国・ 四国」(44.9%)や「北海道」(43.7%)は家族と共有しない割合が高くなっている。災害が起きたときの避難場所や避難ルート、連絡方法について、自宅で家族と一緒にいる時に家族で共有しているのは53.0%、外出先で家族がバラバラの時は45.6%となった。
地震が起きたときの対処方法について、自分が知っていることを聞くと「火災が起きないように、火元を確認する」(75.3%)、「家具から離れて、下敷きにならないようにする」(66.1%)、「窓・ガラスから離れて、ケガをしないようにする」(65.9%)などを認識しているが、家族と共有しているのは「火災が起きないように、火元を確認す る」(40.6%)、「家具から離れて、下敷きにならないようにする」(36.3%)、「家族に電話・メールで連絡をとり、安否確認をする」(36.0%)となった。
地震の対処方法について家族と共有できていない理由を聞くと、「どこか大丈夫だろうという気持ちがある」(女性35歳、新潟県)、「現実味がないから。この考えは甘いと思っているが話し合うタイミングがない」(男性31歳、三重県)などとなった。「防災グッズは色々そろえているが 避難場所や避難ルートについては失念していた」(女性35歳、北海道)、「だいたいは決めているが具体的には決めてない。きちんと話さなくてはと思っている」(女性35歳、熊本県)などの回答があった。
家族や同居している人と避難訓練をしたことがあるかどうか聞くと、85.5%が「ない」と答えた。防災訓練への参加経験について聞くと、男性の3人に1人は1年以内に防災訓練に「参加」(35.9%)しているが、女性は19.7%と少なく、女性の39.1%は防災訓練に「参加したことがない」と答えている。自分の防災意識・防災対策を100点満点で自己採点してもらった結果、今年は平均で39.42点となり、 昨年(39.49点)とほぼ同じだった。
(了)
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リスク対策.com:横田 和子
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