2017/08/30
防災・危機管理ニュース

消防庁は浸水時の水難救助活動について標準化に取り組む。29日、「大規模自然災害に伴う浸水区域における救助技術の高度化に関する検討会」の第1回会合を開催。台風や集中豪雨といった災害時の救助において、潜水活動や流水、静水など区分分けし、ボートや潜水による救助活動のマニュアルを策定する方針。2018年2月をめどに報告書をとりまとめる。今回の検討ではヘリコプターを使った救助活動や潜水救助活動、土砂災害での救助活動は検討対象から外す。
救助活動種別の区分について、効果的な救助方法を系統立てて検討できるよう、今回検討対象でない潜水救助活動、流水救助活動、静水救助活動に分類し定義。潜水救助活動はスクーバ潜水によるもので、集中豪雨による地下空間の浸水時やアンダーパスで水没した車両検索なども含む。流水救助活動は河川のほか、水の流れのある都市型洪水なども対応。静水救助活動は池や沼、1ノット未満程度の水の流れの弱い場所での救助活動。
また活動危険レベルも1~4に分類。1は入水できる装備がない隊員でも、陸上方救助や入水隊員の支援を実施。2は陸上からの救助で対応できず、ボートを活用。3はウェットスーツなど入水装備を装着し入水し活動。4では潜水資機材を装着した潜水士による活動となる。レベル1~3での必要な装備・資機材のほか静水、流水それぞれの環境下での救助方法を検討する。
全国732消防本部を対象に行った調査では、水難救助災害対応の出動計画整備状況は「整備済み」が51.1%。一方でマニュアル整備状況は流水救助活動は13.9%、静水救助活動は16.4%と低い水準となっており、消防庁では統一的なマニュアル作りを進める。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。今回、石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年「いま」に寄り添う <西宮市>
西宮震災記念碑公園では、犠牲者追悼之碑を前に手を合わせる人たちが続いていた。ときおり吹き付ける風と小雨の合間に青空が顔をのぞかせる寒空であっても、名前の刻まれた銘板を訪ねる人は、途切れることはなかった。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年語り継ぐ あの日
阪神・淡路大震災で、神戸市に次ぐ甚大な被害が発生した西宮市。1146人が亡くなり、6386人が負傷。6万棟以上の家屋が倒壊した。現在、兵庫県消防設備保守協会で事務局次長を務める長畑武司氏は、西宮市消防局に務め北夙川消防分署で小隊長として消火活動や救助活動に奔走したひとり。当時の経験と自衛消防組織に求めるものを聞いた。
2025/02/19
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/02/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方