石井国交相(左)は小池都知事と五輪へ向け、無電柱化や舟運活用などについて話し合った

国土交通省は24日、「水災害に関する防災・減災対策本部」の第5回会合と「南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部」の第7回会合の合同会議を開催。石井啓一大臣を始めとする政務三役、毛利信二事務次官や局長級など幹部が一堂に会した。首都直下地震対策では2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたロードマップが示され、訪日外国人を含む滞在者の安全確保、大会施設や周辺インフラの被害軽減などが示された。

首都直下地震では53のロードマップが示され、五輪関連はそのうち10。滞在者の安全確保では、特に訪日外国人の情報不足による混乱や被害発生を懸念。スマートフォンアプリやピクトグラム(絵文字)などによる情報提供や避難誘導を適切に行えるようにする。国交省は24日、防災に役立つ75サイトをひとまとめにし、4カ国語に対応するポータルサイト「Disaster Prevention Portal(ディザスター・プリベンション・ポータル)/防災ポータル」を開設した。東京都の「東京防災」や観光庁監修の「Safety tips」など主要サイトがひとまとめになり、スマートフォンにも対応。利用拡大に向け訪日外国人などへ告知を図っていく。

都心部の避難所に外国人など滞在者が集中し、居住スペースの減少や物資不足も予測されることから、避難所確保や物資輸送体制を強化。主要駅周辺での帰宅困難者対策も進める。発災時に備え、特に外国人の帰国のための空港アクセスとして鉄道やバス・タクシー以外に舟運も活用し人員輸送を行う。大会施設や周辺インフラの被害軽減では耐震性の確保と必要がある場合の補強を行うほか、東京都と連携し2019年度までに首都高速中央環状線内側の都心部で都道の完全無電柱化を実施。発災時は緊急災害派遣隊(TEC-FORCE)による復旧活動を行う。活動計画では最大全国から1日あたり約1940人が派遣され、受援側の関東地区の人員と合わせて約2360人が支援予定。

会議後、東京都の小池百合子知事が国交省を訪問し、石井大臣と五輪に向け会談。小池知事は無電柱化や舟運活用のため水辺の改善、ヒートアイランド対策のための遮熱性・保水性舗装の整備などを申し入れ。石井大臣も「水辺・舟運は東京の隠れた資源。無電柱化や遮熱性・保水性舗装も都と連携して進めていく」と応じた。

国交省の合同会議では首都直下地震以外に水害対策も話し合われた。大規模水害の大規模被害回避へ、氾濫場所を想定し事前対策。水門の機能向上や排水機場の耐水化、地下街の浸水対策といったハード面の対策に加え、企業のBCP(事業継続計画)策定の推進やタイムラインの策定・充実といったソフト面の対策も進める。また、九州北部豪雨の被災地で地域と連携しながら防災・減災プロジェクトを実施。得られた知見を全国に展開する。

■ニュースリリースはこちら
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo06_hh_000066.html(国土交通省「Disaster Prevention Portal / 防災ポータル」を開設!)

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介