今こそ、改めて考えたい委託先(外部ベンダ)のリスク管理
デジタル活用で効率的なコミュニケーションや状況可視化を
RSA Security Japan合同会社/
マーケティング部 部長
水村 明博
水村 明博
サイバーセキュリティ製品を中心とする企業向け製品のマーケティング全般を統括し、インターネットサービス向け犯罪対策やサイバー攻撃対策の啓蒙活動にも注力している。前職のネットワンシステムズ株式会社では、ネットワーク製品の評価・検証に係わり、技術者としてのバックグラウンドを持つ。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)理事として、企業や消費者に向けた啓蒙活動も精力的に行っている。東海大学情報数理学科卒。
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今回は、執筆時点(2020年6月)で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるパンデミック状態からビジネスを立て直すのに重要なポイントである、委託先(外部ベンダ)のリスク管理について取り上げます。
パンデミックによるビジネス状況の悪化で、何十~何千といった委託先との関係が今まで通りにいかなくなっている企業が多いと考えられます。その中で、「以前と同じように取り引きすることは困難になったが、折り合いをつけて今までのような関係を保ちたい」と誰しもが願うかもしれませんが、場合によっては委託先との関係を整理・再構築することも考えなければなりません。
この状況下で考える委託先リスク管理
今日のビジネスでは、どの企業でも委託先を持つことは珍しくなく、その関係性の多くは、エコシステム(共生関係)を構築しているものと考えられます。しかし、上記パンデミックが発生すると、そのつながりが希薄になったり切れたりして、エコシステム全体までもがビジネス継続のリスクに直面します。
本来は、企業が普段からエコシステムを評価し、冗長性なども考えながら、想定されるシナリオに備えて事前対策を講じておきたいものですが、そのような時間的・経済的余裕などがない企業も多くあるでしょう。まずは、この状況下で急いで取るべきアクションは以下の通りです。
1. どの委託先がより重要なのか判断する
日常業務に不可欠な委託先をピックアップして、重要度で区分けします。特に顧客へのサービス維持、従業員の業務継続確保など、欠如すればビジネスを揺るがしかねないものを優先します。
2. 重要な委託先との徹底的な協議
重要な委託先がどの程度業務を継続できるのかについての情報を得ます。また、その委託先のレジリエンス(パンデミック状況下でいかにビジネスを復旧させられるか)状況を確認します。
3. 必要に応じた取捨選択や移行
パンデミックの状況は、世界の特定の地域に大きな影響を与えています。その状況は時間と共に変化していますが、ビジネスのダウンタイムあるいは顧客へのインパクトを最小限に抑えるために、委託先の取捨選択や移行が必要になる可能性があります(例: ビジネスが停滞した委託先での作業(発注量)を減らして、ビジネス停滞の比較的小さい委託先にその減らした作業を移管するなど)。
エコシステムを形成している委託先のレジリエンスの状況を常に把握しておくと、これらのアクションが取りやすくなります。このように委託先の状況を常に可視化しておくことを、企業のレジリエンス戦略に組み込んでおくことが、これからのニューノーマルの世界でのリスク管理には重要になるでしょう。
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