2017/06/27
防災・危機管理ニュース

文部科学省を中心とした地震調査研究推進本部は26日、「海域観測に関する検討ワーキンググループ」の第6回会合を開催。「次期ケーブル式海底地震・津波観測システムのあり方について」と題した中間とりまとめの骨子案を示した。高知県沖から日向灘にかけての南海トラフ南西部海域観測のためのシステムについて、インライン方式と拡張分岐ノード方式による3つの案から今後検討を進める。
インライン方式は地震計や津波計といった観測機器を直接光海底ケーブルにつなぐ方式。ノード方式は光海底ケーブルをループ状に設置し、ノードと呼ばれる水中脱着コネクターを備えた中継装置に各種計器をつなぐ。ノード方式は計器の組み合わせの自由度が高いのが特徴。
南海トラフのための次期観測システムについて、「インライン・ノードハイブリッド方式」と呼ばれるA案、「インライン・ノード分離方式」のB案とC案が提示された。A案はインライン方式とノード方式の複合式。均質な観測網を構築しやすいが、新規で不確定な要素が多い。B案はインライン方式を全域に敷設し、ノード方式を必要な箇所に敷設。C案はインライン方式を浅部と深部に、ノード方式を中間部に敷設する。B案とC案はインライン方式とノード方式を別々に敷設、運用する既存方式のアップデート。
出席した委員からは「A案やB案では時間がかかる」や「海域でも陸地並みの観測をするためには、できるだけノード方式を取り入れた方がいい」など意見が分かれた。今後、次期観測システムについてさらに検討を進める。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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