世界のアニマルレスキューが注目!草の根活動で動物たちを救う「アニマルエイド」
高価な資機材よりも大事なものとは
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
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歩けなくなったり、病気で苦しんでいる動物を助けるために必要なことは「助かることを強く信じて、助かった状態をイメージし、助かるまで日々、愛を与え続けること」by クレア・アブラムス – マイヤーズ(アニマルエイド創立者の娘)
今回はインドのラージャスターン州のウダイプルでアニマルレスキューを行っている慈善事業団体「アニマルエイド」の具体的な動物救助法、救急法、アフターケアの活動をご紹介いたします。
■「アニマルエイド」ホームページ
http://animalaidunlimited.org/
Bringing joy to desperate street animals in India: the vision and the hope(出典:YouTube)
1、「アニマルエイド」とは
アニマルエイドの創設者であり、 マネージングディレクターのジムとエリカ、そして娘のクレア・アブラムス – マイヤーズ は米国のシアトル出身。1990年代初め頃、インドを訪れたエリカとジムは数ヶ月間ずつ、ラージャスターン州のウダイプルに住み始めました。
それから15年以上インドに住み、今はアニマルエイド・シェルターのすぐ隣に住居と診療施設を構え、動物たちのケアや管理を行っています。
エリカとジムがアニマルエイドを創立したきっかけは、ウダイプルでより多くの時間を過ごすようになった時、路上に怪我をした動物が居ても誰も助けず、手当も何もしないことに気づき、動物たちが苦しむ姿を日々見ていて、深く心が壊れたこと。
当時、ウダイプルには野生動物の病院がなかったため、彼らは何もすることできず、苦しんでいる動物たちの助けを求める者もいませんでした。
動物を助けるのには何が必要で、何をすべきかも知らないうちに、彼らは心が動くままに今のライフワークであるアニマルエイドを2002年に設立しました。
彼らは2003年に最初の獣医師を雇い、同じ年に病院を開設しました。最初の数ヶ月間のスタッフは4人。救急車はなく、電話もありませんでした。
実は周辺の多くの住民も動物たちを助けたい気持ちがあったのですが、具体的な方法を実行できなかったこともあり、2003年の開設当初からアニマルエイドの動物援助活動は急速に成長しました。
それから2017年までにレスキューや救急治療した動物は6万頭以上。 50人の常勤スタッフとボランティアの協力で、動物たちが生活できるようにまで施設内でリハビリや心のケアを行っています。
近年では、世界中で活躍するアニマルレスキューの関係者達、動物の救急法指導者達、ペットや動物の殺処分等ペット問題に改善に取り組む団体や個人などが毎日のようアニマルエイドを訪れ、そこに居る動物たちと対話し、彼らからさまざまなことを学んでいます。
2、アニマルエイドから学ぶこと
アニマルエイドが配信するビデオは、世界中の消防士やレスキュー隊、救急隊員達が見ています。そして具体的な動物救助事例 や動物救急法の実践など、動物を助けるための研究映像としても使われています。
10 animal rescues that will restore your faith in humanity!(出典:YouTube)
彼らの動物救助活動映像を見ていて驚くべき事は、 レスキュースタッフの個人装備が素手や半袖、草履などシンプルであること。救助に使うロープや網なども、長さが揃っていなかったり、綻んでいたりと質素なこと。
その活動映像を見ると、わずかな寄付で成り立つ草の根的な組織活動でも、多くの動物たちを助け、清潔に保ち、最低限の治療を施し、最低限の医薬品や手技によるマッサージやボイスヒーリングテクニックなどを用いて、歩けなかった動物たちが歩けるようになるまで快復できることを映像にして証明しています。
特別な施設や高価な救助資機材、 医薬品などがなくても、愛情を持った人たちの心が多くの動物を助けていることが伝わってきます。
We won't let you die! 5 incredible rescues.(出典:Youtube)
3、彼らの動物救急・救助法から学ぶことと日本で活かせること
日本の場合、野犬や飼い主の居ない家畜などほとんど存在しないと思いますが、東日本大震災後、福島第一原発20km圏内等に残された動物たちが自然繁殖したり、国交省や総務省が発表した過疎地域の実態調査データから、人が住まなくなったエリアにペットが捨てられて増えてしまい、何らかの感染症に掛かった場合など、パンデミックに広がる危険もあると予想されています。
■ 東日本大震災におけるペットの被災概況(環境省)
※12ページ以降の被災地のペットの被災概況を参照
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2508c/01.pdf
■過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査 報告書
(総務省 地域力創造グループ 過疎対策室)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000113146.pdf
自治体でアニマルエイドのような組織を作ることは難しいと思われますが、慈善事業団体として、日本でも動物の救急救助組織が立ち上がっても良いと思います。
機会があればペットの命を守る関係団体が集って、具体的にどうやって災害時にペットや動物たちを守れるか、真剣に取り組んでいきたいと思います。
それでは、また。
■ペットの救急法「ペットセーバープログラム」
〜助かる命を助けるために〜
http://petsaver.jp
info@petsaver.jp
(了)
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