環境政策対応の鈍さが招く事業継続の危機
処罰件数に占める日系企業の割合が急増
上海清環環保科技有限公司(STECO)/
総経理
江頭 利将
江頭 利将
1965年7月 佐賀県生まれ。早稲田大学理工学部電気工学科卒。海外生活・事業経験27年(米国1.5年、韓国3年、アルゼンチン6年、中国16年)。2003年より中国事業に取り組み、2008年より上海清環環保科技有限公司(STECO)総経理就任。同済国際緑色産業創新センター(TIGIIC)運営幹事、日資企業節能環保推進研究会(JASPEE)運営幹事、上海佐賀県人会副会長、上海稲門会幹事長を務め、日本の優れた環境・省エネの世界標準化を目指すと同時に、海外進出済みの日系企業現地事業所の環境・省エネ対策サポートに取り組んでいる。机上の空論ではない実業経験を活かした実践的サポートが好評。
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■日系企業の環境違反処罰件数の割合が急増
以前より口酸っぱく言い続けている「中国に進出している日系企業の環境政策対応の鈍さ」について、今回は資料を元に現状を解説します。まず下の図表をご覧ください。これは上海市における中国企業を含めた全企業の環境違反の数の推移を表した図表です。
これによると、2017年をピークに処罰案件数は減少、ただし罰金額の総額は増加傾向にあります。次に、処罰案件数のなかから日系企業だけの数字を抽出し、その割合を重ねてみましょう。違反処罰案件数の全体数の減少に反して、日系企業の処罰件数の割合が増加していることがわかります。
つまりこれは、日系企業の取り組みがローカル企業の取り組みよりも遅れている事実をあらわしているのです。
続いて、上海市に進出している外国資本の企業との比較を行ってみましょう。ちなみに2017年11月の統計データによれば、上海市に進出済みの日系企業数は1万43社、外資企業は4.76万社であることから、日系企業が全体に占める割合は21.1%です。下の表を見る限り、けっして日系企業だけが取り締まりの標的になっているわけではありません。
中国環境の事情通と言われる方が「中国政府は政治的に日系企業を集中的に処罰している」という話をよくされますが、けっしてそんなことはないことがわかるでしょう。日系企業の責任者の方も、口癖として「中国政府は突然やってきていきなり処罰を下す」「政府は前触れもなく法律や基準を改定し、いきなり処罰する」などと言われるのですが、果たしてそうでしょうか?
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