2020/04/15
葛西優香の23区防災ぶらり散歩
防災活動の難しさ
日頃から防災について会議で話し合い、訓練もしているけれど、何かが物足りないと大出さんは話します。「何が起きるのかを少しでも体感してもらうために訓練を年2回行っていますが、実際に大きな災害の経験がない人が多いので、自分の身に降りかかるとは実感できないんだと思います」
令和元年9月4日、有楽町朝日ホールで防災貢献者表彰式が開催され、防災に対する認識が高くその取り組みが他の模範になる5団体が表彰されました。その5団体の一つが、大出さんの在籍する大和情報サービス(株)です。
同社は富士見・飯田橋駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会(=帰宅困難者の受け入れ体制を整えるための協働企業が集う組織)に前ビルの所有者から引き継ぐかたちで入会し、千代田区とアイガーデンエア(飯田橋)の帰宅困難者受入協定もビルとして継承されています。ていねいな引き継ぎと計画の着実な推進が、功績として称えられました。
同地域協力会の主な活動は、年4回の定例会と年2回(春・秋)の防災訓練です。定例会では協力会に入会している企業、町会、千代田区役所の職員の方々が一堂に介し、それぞれの役割について協議されています。
帰宅困難者受け入れ体制は、災害時に帰宅できない人に対して空間と情報を提供する必要があります。企業が万全の体制で受け入れるには、各ビルで管理体制を整えておかなければなりません。いざという時に動き出すのでは遅いので、事前に決められること、用意できるものはそろえておきます。その際、お互いの意思疎通に齟齬がないよう同意書も結びます。
訓練における課題
年2回の訓練では、帰宅困難者を受け入れる段取りを各企業と連携して進めます。しかし訓練では「受け入れ役」「帰宅困難者役」と、一人一人役柄が決められていて、その役がやるべきことをこなすかたちになり、なかなか頭で考える行動には結びつきません。
「ここがやはり訓練の課題だと思います。災害への備えは成功体験がない。そもそも実体験がありません。訓練は実施していても、災害時に肝が据わった対応ができる自信はなかなか持てないうえ、成果を試す機会も一生の間にあるか、ないか…。しかし備えていなければ、何の対応もできないことは確実です」と、大出さんはいいます。
・訓練を実施するなど備えるために時間を使っても成果を感じられる時は来ないかもしれない
・実体験をしたことがないので、実際にどうなるかを具体的に想像して、そこへの対策が必要になる
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