■社会的背景や理由

(1)契約・法律の壁

会社によっては、業務に多数の外部スタッフ(請負契約にもとづいて集められた人員など)が関わっている場合がある。こうしたケースでは、自社が外部スタッフに直接出社や自宅待機を命じたり、勝手に代替要員として現場に投入したりすることはできない。

必要なスタッフを確保し、事業を早期に再開できるかどうかは、外部スタッフの管理元の企業がどこまで危機管理意識を持ち、対策を講じているかにかかっている。

(2)個人情報提示の拒否

緊急連絡先などの個人情報を提示したがらないケースも(写真:写真AC)

個人情報保護の意識が高い今日では、緊急時の連絡網(住所・携帯電話の番号や家族の連絡先などで構成)の作成に協力したがらない社員も少なくない。緊急時の連絡先を明かさない社員、会社から個人の携帯電話やメールアドレスに指示・命令の通知が入ることを暗に拒む社員に対しては、個人情報の管理と用途について十分に説明し、理解や信頼を得ておくことが重要である。

(3)会社に対する忠誠心の低さ

会社への帰属意識を醸成することも必要(写真:写真AC)

これは人事・処遇にまつわる日常の根本的な問題(雇用条件・福利厚生・人間関係・報酬など)かもしれない。

今日では正規社員との賃金格差がありながら、高度なスキルや知識を必要とする重要なポストに就いている非正規社員が増えている。彼らは重要な業務の継続・復旧の担い手である半面、会社への帰属意識、協力意識は正社員ほど高くはない可能性がある。

対策としては、代替の効かない極めて重要な業務に従事する非正規社員を、正社員に格上げするなどの措置が必要である。