(イメージ:写真AC)

はじめに

皆さんは、地域で過去に発生した道路冠水や床下・床上浸水などの記録をご覧になったことはありますか? 「歴史に学べ」とよく言われますが、水害対策にもこれは当てはまります。過去の災害を振り返っておくと、大雨が予測された際に「これは危険かもしれない」と判断することができるようになります。

ただし、災害記録を漠然と見ているだけでは役には立ちません。記録を見るときにはコツがあります。今回は、地域の災害記録の探し方からはじめ、記録の読み解き方、実際の防災対応への生かし方についてまとめていきます。

自治体の地域防災計画を見てみよう

まずは、災害記録そのものを入手する上で手っ取り早い方法をお伝えします。それは自治体が作成する地域防災計画(以下、防災計画と呼ぶこととします)を見ること。法律によって防災計画の作成は自治体に義務づけられているので、全国どの自治体も計画を保有しています。そしてその防災計画には、地域で発生した主な災害記録が多くの場合で網羅されています。

自治体のホームページ上で「防災計画」と検索してみてください。下の例は東京都の新宿区のホームページから防災計画を調べたものです。役所によってはインターネット公開がされておらず、担当課などでの閲覧しか対応していない場合もあります。

写真を拡大 図1 東京都新宿区のホームページから「地域防災計画」を検索した例

防災計画は水害だけを対象とした計画ではなく、地震災害や原子力災害なども対象に含んだ非常にページ数の多い文書です。私たちが今回調べたい過去の災害履歴は、水害対策編や本編中の総則、あるいは資料編などの中で取り上げられていることがあります。目次などを見て確認してみてください。新宿区の防災計画を例とすると、「本冊」の「風水害対策計画」の中に、「近年の被害実績」と題した節がありました(下図参照)。

写真を拡大 図2 新宿区防災計画の中で過去の災害履歴が網羅された部分(新宿区防災計画より抜粋)

http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000234714.pdf

防災計画以外にも、自治体が作成するハザードマップや防災冊子などでも過去の災害がまとめられていることがあります。手がかりとなりそうな情報を一度調べてみるといいでしょう。