■世界の1割の活火山が日本に集中 
世界には約1500の活火山があるといわれており、日本にはその約1割にあたる110の活火山がある(図1)。 

火山はプレートの動きと深く関係して誕生しており、①プレートが生まれる場所(中央海嶺)②プレートが地、中に戻る場所(沈み込み帯)③高温、のマントルが湧き上がっている場所(ホットスポット)に分布する(図2)。 

①海嶺は、プレートが左右に分かれていく発散型の境界。その隙間を埋めるように下からマグマが上昇してくると考えられている。

②沈み込み帯は、海のプレートが陸のプレートの下にもぐりこんで消えていく境界。プレートの沈み込みとともに、地下深くに運ばれた水がマントルの中で放たれ、まわりの岩石を溶かしてマグマをつくる。このような過程でいったん「マグマだまり」に蓄えられるなど様々な作用を受けて地表に噴出し、火山となる(図3)。

地球上の活火山の大部分が太平洋周辺の沈み込み帯に集中している。日本に火山が多いのはそのためだ。③ホットスポットは、プレート境界とは関係なく、マントルで発生したマグマが地上まで吹き上がっている場所で、ハワイ諸島がその典型だ。

■地震が噴火を引き起こす 

火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣氏(東大名誉教授)によれば、地震は、地殻内に存在するマグマだまりに影響を及ぼし、火山噴火を誘発する危険性があるという。 

過去に地震が火山噴火を誘発した例としては、300年前の宝永地震約(M8.6)と富士山宝永噴火が挙げられる。1707年10月28日、遠州灘沖から紀伊半島沖を震源として発生した宝永地震の49日後に、富士山が噴火したのだ。また、東日本大震災でその名を知られることになった約1100年前の貞観地震(869年)でも、その5年前に富士山と阿蘇山が噴火している。藤井会長によれば、貞観地震の前後には、さらに新島や神津島、伊豆大島、三宅島、新潟焼岳、鳥海山、阿蘇山なども、わずか20〜30年の間に立て続けに噴火をしており、伊豆大島と神津島など、複数の火山がほぼ同時に噴火していることも確認されているという。

世界的に見ても地震と噴火の関係は深い。世紀最大級の噴火といわ20れるフィリピンピナツボ火山の噴火(1991年)その前年に発生したフィは、リピン地震(M7.8)が誘発したものと考えられている。また、過去に世界で発生したM9以上の地震では、すべてその後に噴火が起きている(表1)。 

日本で、東日本大震災に誘発されたと見られる噴火はまだ起きていないが、世界の例からすれば、地震後、数年経ってから噴火したケースもあることから、藤井会長は引き続き警戒態勢が必要と説く。