2017/03/10
防災・危機管理ニュース
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石巻市、東北大学災害科学国際研究所、サーベイリサーチセンターは6日、2016年11月22日に発生した福島県沖地震と津波の避難行動に関する共同調査研究の結果を発表した。全体の6割近くが避難せず、避難者の約5割が車で避難したなどの結果が出た。
調査対象は、石巻市本庁区域内で東日本大震災に発生した津波浸水域に現在居住する5000世帯で、有効回収数は2169世帯。
地震発生時の在宅率は90.1%で、過半数は就寝中だった。「大きな津波は来ないと思った」人(避難しなかった人の67.1%)や「テレビ・ラジオ等での情報収集を優先した」人(同30.8%)が多く、56.5%が避難をしなかった。
避難先への移動手段は、「車」が54.6%、「徒歩」が32.0%となっている。車避難の主な理由は、「安全な場所が遠い」「車が大切な財産(失いたくない)」が共に4割以上。また「カーラジオ、テレビから情報を得る」「家族を避難させる」「寒さをしのぐ」「普段、車を使って行動するから」などの理由も、それぞれ3割以上となった。車避難の際に渋滞に遭遇したとの回答は17.0%。8割以上が渋滞にはあわなかったと回答した。
避難をしなかった人のうち、避難することを「考えた」人は28.0%。6割以上は避難することを「考えなかった」と回答している。避難しなかった理由は、「大きな津波は来ないと思ったから」が67.1%と最も多かった。他には、「テレビ・ラジオなどでの情報収集を優先したから」(30.8%)、「近所の人たちが避難していなかったから」(20.1%)、「仕事・学校に行くのを優先したから」(15.9%)などの理由があった。
総合防災訓練の参加経験は、52.1%が「ない」と回答。参加経験がある世帯では、今回の避難行動に、訓練経験が「生かされた」(29.3%)、「生かされた点・生かされなかった点どちらもあった」(17.5%)を合わせて、46.8%が「生かされた点があった」と回答した。
(了)
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