2019/12/19
防災・危機管理ニュース

東京都は19日、江東区の有明体操競技場などで2020年東京オリンピック開催中の首都直下地震を想定した対応実地訓練を開催。会場周辺では大会組織委員会や警視庁、東京消防庁、自衛隊など約500人、新宿区の都庁で約150人の計約650人が参加した。都オリンピック・パラリンピック準備局による大会中の地震を想定した会場での訓練は初めて。
今回の訓練は2020年7月26日の午前9時15分に、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、最大震度7の地震が発生する想定が行われた。この日は都内24競技会場のうち20会場で競技開催もしくは準備中の予定。約1万2000人収容の有明体操競技場は午前9時30分から体操を開催。近隣の約1万5000人収容の有明アリーナでは9時からバレーボール、同規模の東京アクアティクスセンターでは10時30分から決勝も含めた競泳が行われるなど、有明エリアに多数の観客が集まることから、2020年7月26日午前9時15分を想定して行われた。
有明体操競技場では地震発生後、観客に身を守ることや、会場が地震に対して安全であることを日本語と英語でアナウンス。東京消防庁の他、自衛隊や警視庁も連携し救助活動を実施。応急救護やトリアージを行い、受け入れ先の病院との連絡作業などが行われた。さらに「ラストマイル」と呼ばれる会場周辺にいる観客の避難を実施した。一時避難場所であるりんかい線国際展示場駅前の有明シンボルプロムナード公園に誘導後、猛暑が予想されることから水の配布を行った。周辺の商業施設での受け入れを調整し、うまくいかない場合として、有明体操競技場への移動を想定しているという。

同時に都庁には小池百合子知事も参加する災害対策本部が置かれ、初動の訓練を行った。大会期間中は運営における連絡調整や競技場周辺のインシデント対応のため、都の司令塔として「都市オペレーションセンター(COC)」が置かれ、万が一の際は災害対策本部と連携する。都オリンピック・パラリンピック準備局によると、会場内は耐震性があり安全で、パニックを起こさずに会場内に観客をとどめることも大事になるという。外国人対応などの課題があり、参加者へのアンケートの他、今後も図上訓練を行うなど対応の改善に努めていく方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方