2019/12/17
防災・危機管理ニュース

マカフィーは17日、2019年の10大セキュリティ事件と2020年の脅威予測を発表した。今年はキャッシュレスやクラウドなどでの事件が目立ち、2020年は技術の進化により新たなランサムウェア攻撃の他、偽動画や顔認証の突破といったディープフェイクなどに注意が必要とした。
今年の10大セキュリティ事件は2018年12月から今年11月までのセキュリティ事件を対象に、企業の情報システム担当者などに意識調査を行い決定した。1位はセブン&アイ・ホールディングスのQRコード決済サービス「7pay」への不正アクセスとサービス廃止。脆弱な認証システムが問題となり、二要素認証が広く知られ導入がデフォルトとなるなどの影響があった。
2位のヤマト運輸のサービスに対するリスト攻撃、5位のフェイスブックの利用者情報のダウンロード可能な状態での放置、9位の「宅ふぁいる便」への不正アクセスは、クラウドにおけるリスク管理のあり方を問う事案となった。また4位のSNS投稿写真の瞳に映った景色から被写体の人物の住所を特定した事件は、SNSやスマートフォンの利用におけるリスクを知らせた。

2020年の脅威予測として、AI(人工知能)の進化などにより、高度な画像合成によるディープフェイクと呼ばれる偽画像や偽動画の作成が容易となり、顔認証すら突破されるリスクがあるとした。また攻撃の進化や犯罪者グループの連携により、過去の被害者などを容易な攻撃先を特定し、事前に情報を窃取したうえでランサムウェア攻撃を実施。身代金を受け取りデータ復元後に、さらに窃取しておいた情報で脅迫するという、2段階での脅迫攻撃が行われる可能性も説明された。自社のソフトやアプリなどの一部を外部に向けて公開し、第三者のソフトと機能を共有できるようにする、APIの公開範囲や認証相手といったセキュリティ設定が甘く、外部から悪用される危険性も指摘された。
マカフィーのセールスエンジニアリング本部本部長の櫻井秀光氏は17日に東京都渋谷区の同社で行われた記者発表会で、「ディープフェイクはこれまで高スキルな専門家などが行うものだったが、SaaSの普及もありスキルがそれほどいらなくなりつつある」と警戒を促した。
■詳細はこちら
https://blogs.mcafee.jp/mcafee-labs-2020-threats-predictions-report
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方