ナイフと共にインドネシアへ

伊丹空港のANA便でこの事案が発生し、発覚後、ANA搭乗予定旅客全員を保安検査場の外へ戻し、検査を再度行うことになりました。遅延や欠航となっても仕方がない、こうした状況においてはセキュリティが最優先されるため、この判断は当然のことです。日本以外の多くの空港でも同じ対応が取られています。

たったひとりの旅客の事案により、すでに保安検査を受けたはずの全員が戻され、長い列に並ぶことになり、時間をかけて検査を再び受けなければならなくなりました。結果、欠航32便3666名、遅延43便4987名、合わせて75便8653名が影響を受けました。予定時刻に出発しない、目的地へ到着できないということは、航空会社また旅客にかかったストレスは相当なものだったと推察できます。ただ、この大騒動の当日中にナイフを持ち込んだ旅客を特定し発見することはできませんでした。

10月8日ANAがホームページに載せた「9月26日の保安検査に関わる事案について」というレポートに、本事案の旅客の特定に至るまでの経緯が記されています。当の本人は、伊丹空港から羽田空港へ飛び、羽田で国際線に乗り継ぎ、ナイフとともにインドネシアのジャカルタ空港へ向かいました。「羽田でも保安検査を受けるはずだから、その時にナイフを見つけることができたのでは」と思いましたが、羽田空港ではX線検査担当者が、旅客の手荷物の中にあったナイフを見落としてしまい、開披検査を実施することなく通過してしまったとのことでした。