2016/09/23
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
防災の家具固定は「ねじ止め」が基本。でも貸借人にはねじ止めが許されていない!?
もちろん、別途、特約がある場合はこの限りではないものの、ガイドラインから、東京防災で「ネジ止めが基本」と言われても、東京都の賃借人にはネジ止めは、許されていないことがわかります(涙)。
上図の内閣府世論調査には、地域の属性別による比較もあります。賃貸家屋が多い地域では、趣味や好みの問題として、家具や壁に傷がつくので転倒防止をしないわけではなく、賃貸家屋で原状回復義務があるので、転倒防止を諦めている実態をあらわしているのではないでしょうか?
実際に防災の講演をしていても、「賃貸なので、どうすればよいのか?」という質問はいつも聞かれます。
防災では勧められ、賃貸借契約では否定されているネジ止め。この問題をもっと直視したほうがいいのではないかと思うのです。
しかし、ダブルスタンダードのようなジレンマを解決したのは、法律ではありませんでした。それは、ネジ止めしなくてよい製品開発の努力でした。
阪神・淡路大震災後には、つっぱり棒タイプがでてきました。その後、天井の強度が弱い場合や長周期地震動にも対応でき、しかも、壁や家具に貼りあとを残さず粘着できるタイプの商品もでてきました。
東京防災では、「ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒とストッパー式、突っ張り棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなります」と書かれています。
製品の向上や合わせ技などで賃借人は対応してきたわけですが、残念なことに、対応できないケースもあります。
例えば、冷蔵庫にも対応している頼もしい粘着タイプのものでも、こんな注意書きがあります。
天板が平坦な冷蔵庫しか取り付けられない・・・でも、こんな冷蔵庫も結構あります。
これは、冷蔵庫の上部に輪があって、ベルト式固定具をかけ、そのベルトをネジ止めしたフックにとりつける=ネジ止めのための天板がついているものです。
ネジ止めを可能にするがために、粘着テープタイプが使えない!
それなら、あわせ技をすればいいのでは?と思われるかもしれません。しかし、冷蔵庫は重量がありますので、どの程度の合わせ技をすればよいのか、実は不明瞭なのです。
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