2019/10/01
本気で実践する災害食
-
-
ヒトについての質問は以下の5つです。
-
-
・飲食物の備蓄に関する考え方
・調理担当者の勤務状況
・人手不足
・その解消法
・今後の対応策水および食べ物はどこで入手したか自由記述で尋ねると、多岐にわたっていました。
水の入手は施設の「関連先から」が目立っていました。自衛隊、区の給水車、救援物資、委託業者、上水道局などです。さらに、自然水、地元の応援のほか、個人的な知人・友人も加わります。さらに販売所へ買いに行く、他県の応援もあります。積極的に多方面から水の支援を求めた様子がうかがえます。
-
-
食べ物も同様ですが、さらに提携業者が加わり水より間口が広くなっています。また、被災していないスーパーへの買い出しもあり、支援物資の裾野が水よりさらに広く多いことが分かりました。水、食べ物共に多方面から入手していました。
水道水が停止している間、水をどのように調達したかを自由記述、複数回答で尋ねました。
-
水道水が停止している間どのようにして水を調達しましたか
(複数回答 自由記述) -
水の供給源は大きく4分類され、多い順に支援物資の水、井戸水、備蓄の水、給水所(車)でした。その他少数ながら多方面から調達していることが分かります。井戸水については、、用途別に使い分けていることが記述から分かります。例えば、飲み水、使用後の洗い物用、煮炊き用などと記述されていて、生活水も含まれているようでした。
-
調理員の勤務は、交通事情の悪化、車中泊、避難所生活をしながらの勤務であったにもかかわらず、出勤率は90~100%と高いものでした。調理担当者の勤務は困難でしたかと尋ねた結果、94施設中30施設が困難であったと答え、平常通りという施設は26施設、無回答は38施設でした。困難と答えた自由記述(複数回答)は次の通りでした。
-
・全員困難な中、なんとか予定通り出勤した
・公共交通機関が止まったため近所に住むスタッフのみが勤務可能だった
【道路問題】
・道路の通行止めを迂回して勤務地へ
・道路の状態が深刻ですごく困難
・時間がかかったが勤務地へ
・町外からの出勤は困難
・通勤に苦労した
・勤務に長時間を要し通勤が大変
・通勤不可で3日間休んだ
・出勤・帰宅の道路が渋滞し通常の3~4倍の時間がかかった
【家庭の事情】
・家庭の事情のため長期間休んだ
・自宅の片付けと避難所へ入ったため勤務不可能
・住まいの片付けのため1日出勤できなかった
・ほとんど車中泊、避難所から出勤した
・1カ月勤務不可能な人もいた
・県外へ避難したため1カ月半休んだ
・すぐに勤務できない者もいた。出勤できる者だけで担当した
・困難だけど必死だったのでやれた以上、ヒトでは勤務に係る困難さが多く挙げられました。交通事情が悪い中、時間をかけて勤務した実態や家庭の事情を挙げた例では、家屋の崩壊、片付け、子どもや介護の問題などでした。また、避難所や車中泊をしながら勤務することを余儀なくされた例も多く挙げられました。
そんな中での課題は、
① 夜勤の人数を増やす必要ある
② 勤務者のオーバーワークを減らすための施策が必要である
③ 調理スタッフの充実が必要である、など
の人手不足に伴う人員増と職域内での意思の疎通についての意見が出されていました。通常であれば、水は水道から、食材はお得意の納入業者から届けられるので、職員の苦労はないはずですが、地震発生に伴う職員の労働量は計り知れないものです。精神的な苦労も伴います。我慢も限度を超えているのは明白です。
最後にヒトについて福祉施設としてぜひ外部の皆さまに伝えたいことは? の回答をお伝えしたいと思います。
-
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方