2016/07/25
誌面情報 vol56
復興支援活動の中心的な存在として、また、社内や社員の活動を記録し続けてきた同社広報室の江河真喜子氏は「『何か困っていることはありませんか』というような上から目線の聞き方では、家がなくなってしまったからどうにかしてくれ、大切な人が亡くなってしまったなど、逆に被災者の心を傷つけてしまう。同じ被災地に生活する者として等身大の支援を心がけています」と語る。毎日のように避難所を訪れあいさつを交わし、まわりを掃除をするなど継続的に接しているうちに会話が生まれ、少しずつ自分たちができることが見えてくるのだという。「支援してあげているのではなく、私たちも“ありがとう”という言葉に支えてもらっているのです」(江河氏)。「どこにもないものを、どこにもない方法で」という精神は支援活動にも生かされている。
有事対策マニュアル見直し
5月に入って、同社では、有事対策マニュアルを策定した。安否確認や一斉に指示が出せるシステムも独自に開発中だ。「阿蘇山の噴火もあり得るので、どういうときに、どういうメンバーが、どういう条件のもとに集まって、どういうことをどのくらいの時間の中でするのか、誰がどう発動をするのか、情報手段は何を使うのかなど素案を決めています」(大庭氏)。
これまでは正直、災害対応については真剣に考えたことが無かったと大庭氏は打ち明ける。しかし、今回の地震では、マニュアルがあったとしても、机上の計画では通用しないことも痛感した。「震度●以上なら、作業を止めて現場の安全確認というようなことが書かれているマニュアルがありますが、現場の社員が言ってたのは、お客様と電話している最中に、大きな地震が発生しても、震度がいくつかなんてわからないし、お客様とのコミュニケーションを強化しているので変な切り方をして不快な想いをさせたくないという悩みです。それでもガラスが割れるかもしれないという恐怖もある。だから弊社のマニュアルにおいては、身の危険を感じたら電話を切って机の下に入って安全確保をしろ、と明文化しました。そうした細かな権限まで明確にしないと現場の社員は判断できないのです」(大庭氏)。
BCPの観点からも見直しを進める。これまで同社は、コミュニケーションを重視する故に、製造も販売も同じワンフロアで活動してきた。が、逆に考えれば災害で両方同時にやられるリスクもあるということ。かといって、分散したり代替生産をすることは会社の理念に抵触する。今後リスクの分散については、あらゆる方法を視野に真剣に考えていきたいと大庭氏は話している。
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