2019/07/30
本気で実践する災害食
2. 共助:住民と企業が一体になって地域を守れる仕組み

容疑者は、17日にホームセンターでガソリンの携行缶を購入後、それらを台車に載せて犯行に及ぶまでの3日間、宇治市内と京都市内で過ごしました。18日(木)事件当日の前夜には京都市内の公園のベンチで寝泊まりする容疑者の姿を住人が見ていて、目撃情報が多数寄せられています。さらに、容疑者は、犯行前に京アニの全ての施設(第2スタジオなど)とアニメ販売店などの様子をうかがっていました。しかし、残念ながら犯行前に市民の協力で犯行を阻止することはできませんでした。どうしたら住民側が協力して犯行を未然に防ぐことができるのでしょうか?
普段見かけない人、挙動不審な人、公園に座っていて違和感のある人などを見かけたら、そうした人にも関心を寄せ無視しないように心掛けられないものでしょうか。そして、さりげなく「何かお困りでは?」「お手伝いしましょうか」などと声掛けができたら……。 事件の後、いろいろな方にそんな提案をしているのですが、聞いた人は「それは難しいのでは」と反論します。ならば、普段から行き交う人、すれ違う人には、率先して挨拶をしたらどうでしょう。仲間同士、仲間以外もひと声掛けて温かい態度で接するというのはどうでしょう? 子どもの朝の登校時の見守り隊は、こうした「あいさつ運動」を実行しているとの返事を多くいただきます。では、これを広げてみてはいかがでしょうか。
2001年の池田小学校児童殺傷事件では、犯人が入ってきた時に、最初に出会った先生が犯人に対して、「どちらさんですか」と声が掛けられなかったことが反省に挙げられていました。
■リスク対策.com記事より https://www.risktaisaku.com/articles/-/2043
さらに、地域住民や企業が寄り添って気軽にお近づきできる場を持ちます。例えば、夕涼み会、名月会、草ぬき会などです。ひきこもり、いじめられっ子、息苦しい人も含めて地域が一つになるようにしましょう。こうした場に企業が参加すれば、住工混合による住民とのトラブルも少なくなるはずです。
こうした集いは災害時にも役立ちます。災害時に企業の駐車場などを住民の方に開放することができるかもしれませんし、防災の資器材を貸してあげることもできる。企業と住民は一緒になって地域を安全で豊かにしていくことが求められていると思うのです。住工混合は負の関係ではなく、お互いが助け合える仕組みにすることもできます。無関心、無視はなくしましょう。
監視カメラは後だしじゃんけんで証拠探しにはなりますが、残念ながら人々の交流の足しになりません。小さな積み重ねが地域の大きな力になることでしょう。
今後、災害をはじめ、地域住民に襲い掛かる危機はますます増えると思えるので、のんびりしてはおれません。これまで大丈夫だったからこれからも大丈夫と考えるのは楽観ものです。気を引き締めて、より本気度の高い方策を打ち出しましょう。
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