大船渡報告(その6)・・復興の3点セットと泊里団地【東日本大震災】(5月25日のFBより)

室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
2016/05/24
室﨑先生のふぇいすぶっく
室﨑 益輝
神戸大学名誉教授、ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、兵庫県立大学防災教育研究センター長、ひょうごボランタリープラザ所長、海外災害援助市民センター副代表
三陸沿岸には、素晴らしい復興を遂げたところがいくつもある。綾里、越喜来の崎浜や浦浜、末崎の泊里などがそうである。
素晴らしい復興を遂げたところには、その成功要因としての、被災者中心の復興まちづリ委員会が存在する。
その復興委員会が、十分に機能するには、3つの条件がいる。もともとしっかりしたコミュニティが存在している、そこに地元を愛するコミュニティリーダーが登場する、加えてまちづくりを理解した専門家が支援に入る、の3つである。
碁石には及川さん、越喜来には片山さんといった、地元のリーダーが「あふれんばかりの地域愛」をもって、頑張っておられた。綾里の饗庭さんや池田さん、崎浜の広田さんや若菜さん、碁石の佐藤隆雄さんや糸永さんといった、素晴らしい外部専門家の支援も見逃せない。
その素晴らしい復興の1例が、碁石海岸の泊里の集団移転である。素晴らしい自然を見晴らす高台に、泊里団地はあった。浜から団地まで、被災地の大人も子供も力を合わせて作ったという、砂利道の避難路が続いていた。コミュニティの維持ということで、自力再建の人と災害公営の人が一緒に暮らせるように、ゆったりとした曲道を挟む形で、その団地は形成されていた。
碁石海岸は及川さんというリーダーに案内いただいた。孤立を覚悟して、地震直後から、コミュニティのみんなが力を合わせて、避難所の運営や炊き出しを行った。震災当日からおいしいご馳走を食べられたという話は、地域力がいかに大切かを教えてくれている。
室﨑先生のふぇいすぶっくの他の記事
おすすめ記事
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/11
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方