「企業風土」は、BCP定着のバックボーンとして非常に重要です。分析の結果、BCP定着の原因要素として、「企業風土」から4つの要素「全社情報共有」「社員の一体感」「社内の風通しが良い」「現場に権限付与」が出てきました。このような「企業風土」が「BCP環境」に影響を与え、BCP定着を後押しする原因要素として働いていることが分かりました。

私の調査分析でやや意外な発見だったのは、BCPを定着させている企業のトップの方が、BCPの定着によって、BCPや災害対策とは別に、平常業務で幅広いメリットを生じていると認識していることでした。この点を分析した結果、BCPの定着が原因となって、「営業上のプラスになった」「信用力が上がった」「業務の改善につながった」「人材開発になった」「取引先との関係も深まった」といったメリットが発生している結果が確認されました。これらの幅広い利点が発生していることは、間違いなく、「会社が強くなっている」と言えると考えます。

ISOのBCPの規格では「事業継続は企業の能力」としています。その能力とは、組織をまとめて同じ方向に力づけ、トップと社員が一丸となって、それぞれを活性化させることではないかと思います。

(了)

※このシリーズを終了します。