2019/03/08
防災・危機管理ニュース

トーマツは8日、海外リスクに関する記者勉強会を東京都千代田区の同社で開催。シニアマネージャーの中澤可武(かむ)氏が米中貿易戦争の影響や日系企業の海外リスク管理のあり方などについて解説した。
米中貿易戦争については2018年から関税など制裁の応酬が続くほか、米国による通信分野における中国企業の排除といった動きもある。中澤氏は「日系企業の海外拠点のトップの多くが筆頭リスクに挙げている」と述べ、米中に生産拠点を置いていたり、両国と部材や製品などの取引があったりする企業には特に影響が大きいとした。関税上昇などに備えた事業計画へのモニタリングや、計画の見直しを行う仕組みを整えることが重要だと説明した。
このほかに海外での汚職防止強化についても解説。2018年に米司法省が航空機メーカーに過去の取引での不正を追及し、罰金が数十億ドル規模の巨額になる恐れがあることのほか、東南アジアなどで見られる許認可関連の公務員への賄賂などにも厳しい目が注がれていること、ドイツでは2017年に自動車メーカー5社がサプライヤーに関する情報交換を行ったことにより、カルテルの捜査を受けた例も紹介。進出国の法令や商習慣に関する情報収集と経営陣の把握が重要だとした。
中澤氏は「経営陣によるリスク管理のほか、災害やサプライチェーンの途絶も含めた事業停止リスク対応への仕組みづくりはまだまだ」と述べ、企業の対応が急がれるとした。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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