イタリア、ナポリの町から望むヴェスヴィオ火山 (photo:pixabay)

日本全国で火山活動が活発化しています。火山噴火は、強力な溶岩流や火砕流、土石流で瞬時に、多くの生命や財産に致命的な被害を与えるとともに、火山から噴出される、噴石や火山灰は地球規模で大きな影響を与える自然災害です。

また、その発生回数は何百年に一度となりますが、世界を見渡せば、火山に対しては地震よりも切迫性の高い地域もあり、熱心な研究がなされています。

私の同級生にも、火山噴火の専門家を志ざし、世界の火山を訪れている友人がいます。今回は、世界で最も危険な火山といわれる、イタリアのヴェスヴィオ火山の対策を紹介します。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年7月25日号(Vol.50)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです(2016年9月20日)。本稿は著者がロンドン大学に在籍していた当時に執筆したものです。

ポンペイの町を破壊したヴェスヴィオ火山

イタリアのヴェスヴィオ山をご存知でしょうか? ローマ帝国時代に、あのポンペイの町を破壊した火山、と言えばおわかりの方もいるのではないでしょうか。

 

ヴェスヴィオ山は、イタリア南部に位置し、ナポリからほど近い場所にあります。山頂は2つの峰からなり、高いほうが数々の噴火を繰り返した火口をもつヴェスヴィオ山(1277m)、低い方のソンマ山(1132m)は、ヴェスヴィオ山を円弧状にとりまく古い火山体の一部です。 

この火山の過去の噴火スタイルとしては、噴火と同時に、爆発的に大量の軽石や火山灰を高く吹き上げるプリニー式で、非常に大規模な噴火です。

火砕流(熱い空気や火山ガスの気体と、火山灰が一団となって、時速100km〜300kmの速度で斜面を流下する現象)、溶岩流(火口から噴出した溶岩が地表を流れ下る現象)が発生する危険があります。 

この火山は、3万3000年に渡り活動してきました。紀元79年にポンペイ市を全滅させた噴火では、噴煙が20kmの高さまで立ち上り、ポンペイの2000人の命を奪ったと言われています。

その後、432年に噴火、1631年には4000人の死者を出す噴火が発生しました。その後も幾度にも渡り噴火を繰り返し、近年では1944年に噴火し、溶岩が11日間も流れ続け、26人が死亡、1万2000人が避難する事態となりました。