西日本豪雨からの復旧について振り返る桜井社長

8日から復旧作業に就くにあたり、状況を共有するため、酒蔵の従業員全員に出社してもらいました。状況が分かっていれば不安感も少なく、動き出しも早いものです。チームで泥をかき出し、清掃作業をしました。私どもの製造では、年間通して作っていく関係上、同じメンバーによる分業体制の組織ができています。チームごとの動きがとりやすかったことが復旧作業にスピードを与えてくれたと言えます。

9日には記者発表会見を行いました。状況をきちんとお伝えしようということと、巷では転売の動きも見られたためです。また、停電で製造再開できないことを率直に話したところ、その日の夕方には電力が復旧しました。その地域の重要度を電力会社さんに勘案していただけたのだろうと思います。

製造復帰していくなか、発酵中の酒については、救えるものも1〜2割ありましたが、あとは通常商品では出せずに悩みました。そこで「獺祭 島耕作」という復興支援の商品として1200円で販売し、200円を被災地に寄付させていただくことになりました。お盆前の発売に合わせたスピード作業と物流の確保には非常に苦労しましたが、おかげさまで計58万本販売し、1億1600万円を被災地の広島、岡山、愛媛、山口に4等分して8月中に寄付させていただきました。58万本分の被災地を応援したいという人の思いが、モチベーションになったと考えています。

被災後の対策では、浸水に対応できるように、非常用電源のかさ上げ、川岸の防水壁と本社内の防水扉の設置を行いました。それから、会社の2階部分を簡易避難所として利用していただけるように改善しました。そこを避難所にして開放できていれば、今回亡くなられた方もご無事だったかもしれないということが、いまだに悔しい部分です。

(了)