JTB・山下氏(左)と日清食品HD・高橋氏が今回の契約の意義を説明した

日清食品ホールディングス(HD)はこのほど、JTBが提供するBCP(事業継続計画)実行支援サービス「RECOVALUE(リカバリュー)」を導入した。同サービスの導入を決めたのは日清食品HDが初めて。首都直下地震などで日清食品HDの東京本社が被災した際、JTBのサポートを受け、必要に応じて社員が首都圏から大阪本社に移動して事業継続にあたる。

「RECOVALUE」は、災害時に首都圏から大阪へ移動するBCPを策定している企業向けのサービスで、契約した企業がBCPに基づいて拠点移動を決断した場合に、宿泊施設や移動手段の手配、危機管理情報の提供を行っていく。

同サービスのプランでは首都圏での発災時に東京都立川市もしくは練馬区にバスを配車し、移動する社員をピックアップして、大阪へ向かう。バスは山梨県に本社のある日下部観光バスを利用。「本社が山梨県にあるため、乗務員や車庫が被災する可能性が低く、首都直下地震でも運行ができると期待している」とJTBのBCP実行支援事業開発推進担当部長の山下真裕美氏は語る。同バス会社は「RECOVALUE」向けの燃料も平常時より備蓄。大阪への移動は東名・新東名高速道路や中央自動車道の利用を見込んでいるが、被災状況によっては練馬から関越自動車道を経由することもあるという。宿泊施設のホテルは10件を特別契約している。発報確認日から4~5日での移動を見込んでいる。

写真を拡大 「RECOVALUE」サービスのイメージ。「RIC24」は提携するレスキューナウによる24時間危機情報センター(出典:JTB資料)

日清食品HDは2008年の持株会社制への移行に伴い、調達、生産、物流といった機能を東京に置くこととなった。そのため、首都圏が被災した場合、サプライチェーンを指揮する部隊を大阪本社に移転して事業継続を図る。「インスタントラーメンは緊急物資として需要が増大するため、生産や供給が滞らせないための仕組みづくりが不可欠」と総務部リスクマネジメント室の高橋正和氏は語る。日清食品の直轄工場は全国5カ所に分散しているが、ビジネス上の利便性を考えると大都市である大阪に機能を移すことが望ましいという。

同社ではJTBのサービスを利用するにあたり、同社が導入している災害情報システムを用いて社員同士が連絡を取り合い、参集場所に集合する。第1陣として30人程度が移動。大阪本社でサプライチェーンの管理業務にあたるという。対象の社員は在宅勤務用のPCを自宅にも置いているほか、大阪本社でも必要な機器のバックアップを行っている。「生産に必要な司令塔機能を発災時にもスムーズに大阪へ移せるよう備えた」と高橋氏は今回の契約の意義について語った。

■「RECOVALUE」詳細はこちら
https://www.jtbbwt.com/service/soumu/recovalue.html

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(了)

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