海上自衛隊の護衛艦「いずも」(東京新聞2018年12月18日夕刊より)

私は、国民の多くが安倍政権の掲げる「憲法改正」と「歯止めなき防衛予算の増額」に不安を抱いている、と信じる。そこで、「防衛費の突出」にしぼって、東京新聞と朝日新聞の関連記事を適宜引用し、その危険性をあらためて考えてみたい。両紙から引用するのは、その論調や見識が他紙に比べ同意したい点が多いからである。

政府は2018年12月18日の閣議で、国の防衛力整備の指針となる新たな「防衛計画の大綱」と、今後五年間の装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」を決定した。海上自衛隊の護衛艦「いずも」型2隻を改修し、短距離離陸・垂直着陸が可能な「STOVL機」を搭載する<空母>として運用する方針を明記した(<空母>は専守防衛から逸脱することは明白だ)。以下、東京新聞(2018年12月18日付夕刊)を参考にする。

地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など日米の軍事的一体化を進める兵器の米国からの購入も盛り込み、五年間の防衛予算総額は過去最多の27兆700億円に上った(トランプ米大統領の強要に安倍政権は屈したかのようである)。
<空母化>は、中国の太平洋進出をにらみ、防空能力を向上させる目的という。大綱に「現有の艦艇からのSTOVL機の運用を可能とするよう、必要な措置を講ずる」と記述している。「攻撃型空母」の保有は憲法上許されない、とする政府見解との整合性を図るため、「空母」の表現は避けた。(「衣の下から鎧は見えている」。欧米メディアはすべて「空母」と報じている)。
防衛相は閣議後の記者会見で「専守防衛の範囲内で、多用途護衛艦として運用する」と語った。中期防は「憲法上保持し得ない装備品に関する政府の見解に変更はない」とした。だが、なし崩しの恐れは残されている(東京新聞より)。

中期防には、米領グアムに向かう弾道ミサイルの迎撃に使用できるイージス・アショア二基のほか、敵基地攻撃能力の獲得につながる長距離巡航ミサイル「JASSM」の整備を盛り込んだ。航空自衛隊のF15戦闘機の代替として、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35を45機購入し、うち18機はSTOVL機のB型にすると明記した。

相次ぐ兵器購入の結果、防衛予算は前回の中期防から約3兆円増額。米側の提示額を受け入れる対外有償軍事援助(FMS)による兵器購入の「合理化を推進する」方針を初めて示した。具体的な合理化策には踏み込まなかった(FMSの問題点については「朝日新聞」の社説を引用して後述する)。