過去の事件に学ぶ郵便テロへの企業の備え方
青酸カリ郵便事件は他人事ではない
リスク対策.com 編集長/
博士(環境人間学)
中澤 幸介
中澤 幸介
新建新聞社取締役専務、兵庫県立大学客員研究員。平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、内閣府「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」、内閣府「令和7年度多様な主体との連携による防災教育実践活動支援等業務」防災教育チャレンジプラン実行委員など。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」、LIFE「命を守る教科書」等がある。
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1月26日の正午、「東京都内の複数の製薬会社に、脅迫文とともに、白い粉の入った封筒が送りつけられたことがわかり、警視庁が捜査を始めた」との速報が流れました。ニュースによれば、前日の25日午後、製薬会社6社に、白い粉末と脅迫文が入った封筒が郵送され、脅迫状には「青酸カリを入れたニセモノの薬を流通させる。ことしの2月22日までに3,500万ウォンをビットコインで送りなさい」などと記され、いずれも透明なポリ袋に入った状態の白い粉末が同封されていたということです。警視庁が簡易鑑定したところ、粉は猛毒のシアン化カリウム(青酸カリ)の可能性が高いということです。
アメリカ炭疽菌事件での白い粉
この事件を見て、「アメリカ炭疽菌事件」のことを思い出しました。2001年の米同時多発テロの直後に起きたもので、2001年9月18日と10月9日の2度にわたり、アメリカ合衆国の大手テレビ局や出版社、上院議員に対し、炭疽菌が封入された容器の入った封筒が送りつけられました。この炭疽菌の感染により、5名が肺炭疽を発症し死亡、17名が負傷しています。
アメリカの炭疽菌事件は、その解決までに10年近い歳月がかかりました。FBIが、科学者だったブルース・イビンズの単独犯行であると宣言したものの、本人は自殺。最終的に米司法省がイビンズの単独犯行であると結論付けたのは2010年のことでした。
しかし、2001年の炭疽菌事件以降、愉快犯による「白い粉事件」が相次ぎました。イギリスに本社を持つテロ対策の専門誌の編集長から聞いた話ですが「炭疽菌事件後は、人々は奇妙な白い粉を見るや否や当局に電話をするようになり、当局は、その電話を受けると、地域を閉鎖して関係者を除染し、分析のためにサンプルをラボに送らねばならないため、会社の場合、結果が出るまでは、そのオフィスは閉鎖となった」ということです。このような白い粉事案の対象になったのは、銀行から結婚式まで幅広いそうです。連邦政府から地方の消防、ビジネスに至るまで、このコストは膨大であったと考えられます。
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