災害時のトイレ使用には、意外な落とし穴が(出典:国土交通省)

あと少しで12月。1年は早いですね!振り返れば、今年は災害の多い年でした。被災して、命が守られたその後に最初に困るのは何でしょう?連載を読んでくださっている方は即答できますよね。命が守られたら、次はトイレです。今回は災害時のトイレの最新情報をお伝えします。
 
いつも残念と思うのは、災害直後の防災まとめ記事。あれってみなさんどう思います?普段から防災に関わっている方が書いてくださっていればよいのですが、一体、ネットのどこから引っ張ってきたの?いつの時代のもの?というものもシェアされまくっていることがあるので、私はため息をつくことが多いのですが・・。

大地震の後は、単なる断水だけでなく、排水管が破断している可能性がある。だからトイレの水は流さない方がいい。これが防災界の常識であるのに、北海道胆振東部地震の後は「こうやったらトイレの水が流せます」って情報ばっかりでがっくりきました。地味な日頃の啓発が、肝心の災害時に一気にふっとばされていくやるせなさ・・ご理解いただけますでしょうか?

確かに、北海道の地震では、地震による被害ではなく、停電などによる断水だけが心配の地域も多かったのです。ですから、断水の際の手順について、トイレメーカーHPの断水対策を紹介をしている記事があっても一概に間違いではないのです。でも、地震直後の情報としては、やはりまずいのです。この点について、以下にまとめられている記事を、お読みくださいませ。

■災害時の間違ったトイレの使い方。もしかしたら僕が悪かったのかもしれない
「停電・断水時」と「災害時」のトイレの使い方は違うのです

http://www.risktaisaku.com/articles/-/10130

こうして今でも災害時のトイレ情報について混乱がある一因は、自治体のHPでも古い情報をそのまま配信しているところがあるからかもしれません。今回は最新情報を掲載しているところを紹介します。

まずは、港区のこちらをご覧ください。
■港区マンション震災対策ハンドブック〜在宅避難のすすめ〜
https://www.city.minato.tokyo.jp/chiikibousai/29manshonhandbook.html

写真を拡大 (出典:東京都港区「港区マンション震災対策ハンドブック」)

「排水管の安全が確認されるまでは、水を流してはいけません」

と書いていますね。防災対策に力を入れている港区はきちんと書いていてさすがです♪ 災害時にマンションで流してしまうと、下の階から損害賠償請求される可能性があります。自分が地震保険に入っていても、保険会社に損害分を請求できません。流すとトラブルと損害が発生してしまうので、マンション防災では、配管の正常が確認できるまでトイレの水は流さない、ということになっています。

詳しくは以下の過去記事で。

■間違っていませんか?災害直後、トイレに水を流すのはNGです!
 災害時のトイレ問題 15の最新事情 【前編】(2016/12/14)
 http://www.risktaisaku.com/articles/-/2236

■災害時のトイレ「いちかばちか流しちゃえ!」はダメ!きちんと話し合って計画を立てよう
 災害時のトイレ問題 15の最新事情 【中編】(2016/12/20)
 http://www.risktaisaku.com/articles/-/2245

■避難所でも、みんなが安心して快適に使えるトイレを目指そう!
 災害時のトイレ問題 15の最新事情 【後編】(2016/12/21)
 http://www.risktaisaku.com/articles/-/2248


もちろん、配管が壊れにくいなど、マンションの個別事情があるのであれば、話し合いで、あらかじめ別の結論を合意することもできます。でも、話し合いもなく流すのはトラブルの元だと思っておいてください。