シャーマン氏(左画面内)はフェイスブックのプライバシー保護の取り組みを説明。右はフェイスブック ジャパン広報統括の下村祐貴子氏

フェイスブック ジャパンは17日、東京都港区の同社でプライバシー保護の取り組みに関する説明会を開催した。9月に明らかになった大規模な個人情報の流出などをふまえ、現在の個人情報保護の取り組みや姿勢をフェイスブックのプライバシー部門副責任者であるロブ・シャーマン氏がビデオ通話により説明。専門チーム設置のほか、広告表示やプライバシーに関する設定をユーザーが行いやすいようにしたことなどが話された。

フェイスブックは9月に約5000万人のユーザーの個人情報が、サイバー攻撃により流出した可能性があることを明らかにした。その後、対象者は約3000万人とわかったが、うち約1400万人は名前と連絡先以外に性別や出身地、自己申告による居住地や職歴といったより詳細な情報も流出した。3月には英国のデータ分析会社のケンブリッジ・アナリティカに、アプリを通じ約8700万人分とされるフェイスブックユーザーの個人情報が流出したことも明らかになっている。

シャーマン氏は今秋に個人情報流出が明らかになった約3000万人のユーザーに対しては、フェイスブックからメッセージを送信し、どの情報にハッカーがアクセスしたかや対応を説明することを述べた。さらにセキュリティへの取り組みを継続していくことを語った。

プライバシーや情報管理のチームを設置し、対応にあたる。プライバシー関連業務にあたる人員を今年中に2万人規模にする計画。また外部の専門家との協力も強化する。既にフェイスブックサイト内に「プライバシーセンター」というコーナーが設置されている。ここでは投稿やプロフィール情報といったプライバシーに関する設定をユーザーがひとまとめに行えるようにしており、ユーザーへの啓蒙活動も進めていく。

「プライバシーセンター」で公開範囲や広告表示などの設定が行える

広告表示についても「プライバシーセンター」で設定が可能。自分に関心があるジャンルの追加や削除のほか、位置情報を停止することでも無関心な広告の表示を防げることが説明された。ケンブリッジ社の件の反省から、アプリ審査のプロセスを厳格化。アプリ提供者のデータアクセスを制限しており、フェイスブックの承認が行われていないアプリは名前、プロフィール写真、メールアドレスのみに共有を制限。3カ月利用していないアプリがあれば、そのアプリユーザーへの情報アクセスも制限している。ユーザーによるアプリ管理も「プライバシーセンター」で容易にしたほか、アプリ開発者への安全に関するトレーニングも外部組織の協力を受けて行っている。

シャーマン氏は「プライバシーに関する取り組みを今後も隠さず公開し、結果のみでなくその背景や理由についても皆様と共有したい」と述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介