東京都は、都立公園の整備・管理の基本指針となる「パークマネジメントマスタープラン」を10年ぶりに改訂、3月30日に発表した。

パークマネジメントとは、公園づくりの際に、従来型の行政主導の手法でなく、都民の視点に立ってNPOや企業と連携しながら整備、管理していくものであり、誰からもわかりやすい目標設定、多角的な視点による事業を展開し、継続的に改善を行っていくこと。

東京都は、平成16年に「東京が切り開く新時代の公園経営を目指して」と題したパークマネジメントマスタープラン(以下マスタープラン)を策定したが、10年を経過し、社会状況の変化などに対応するため改定した。

改訂マスタープランは、東日本大震災の発生、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定などの社会的変化を踏まえ、首都東京の風格を高め、安全で快適な都民生活に不可欠な施設にするため、「都市の魅力を高める公園」「高度防災都市を支える公園」「生命を育む環境を次世代に継承する公園」「豊かな生活の核となる公園」の4つの基本理念のもと、目標実現に向け、以下の10の推進プロジェクトを掲げている。

1.国際的な観光拠点となる公園づくりプロジェクト
2.庭園・植物園・動物園での「おもてなし」プロジェクト
3.公園の多機能利用と民間の活力導入促進プロジェクト
4.防災公園の機能強化プロジェクト
5.都立公園の安全・快適プロジェクト
6.水と緑の骨格軸形成プロジェクト
7.都立公園の生物多様性向上プロジェクト
8.自然とのふれあいプロジェクト
9.都立公園の魅力向上プロジェクト
10.パートナーシップ推進プロジェクト

このうち、「国際的な観光拠点となる公園づくり」では、上野恩賜公園を、日本の文化・芸術を発信する「文化の森」として再生、日比谷公園、井の頭恩賜公園など、明治・大正期に整備され東京を代表する公園を、歴史的・文化的価値に着目して保護・保全・再生するほか、オリンピック・パラリンピック競技会場等が配置される公園の整備、バリアフリー、ユニバーサルデザインの推進、多言語表記、無料Wi-Fi利用環境等の充実などを掲げている。

「防災公園の機能強化」では、大規模救出救助活動拠点に位置づけられた公園では、大型車両の通行に対応した入口・園路の改良、ヘリコプターが離着陸可能な広場の確保、照明・放送設備の整備を行う。避難場所になる公園では、通信・放送機能や情報提供機能の強化を検討。防災訓練や公園内の建築物の耐震化、街路樹の防災機能の強化を図っていくとしている。