【ニューヨーク時事】愛媛・岡山両県と韓国で発生した山林火災について、欧米の国際研究チームは、気候変動による気温の上昇や乾燥などが被害拡大に影響したと考えられるとの分析結果をまとめた。湿度が高い日本では大規模な山火事は起きにくいとされてきたが、気候変動に伴い、そうした「常識」が覆るかもしれない。
 研究チームは、今回の山林火災を引き起こした気象条件が、この地域の過去(1950~86年)と現在(87~2023年)でどう変化したかを分析。その結果、気温は最大で2度上昇する一方で、1日の降水量は2ミリ(3割に相当)減少。風速は1割強まっていたことが分かった。
 研究チームはこうした変化が、主に人間の活動による気候変動が原因でもたらされたと指摘。太平洋赤道域東部(南米沖)の海面水温が平年を上回る「エルニーニョ現象」などの自然変動も寄与した可能性があるが、影響は限定的にとどまったとしている。
 山火事の直接的な原因は、火の不始末や落雷などさまざまあるが、高温や乾燥の影響で燃え広がりやすくなるとされる。チームを率いたフランス国立科学研究センターの関係者は「熱波は植生を乾燥させ、強風は炎を勢いづける。複合的なリスクが悪循環を生み出す」と強調している。 
〔写真説明〕火の手が上がる岡山市内の山林=26日、同市南区

(ニュース提供元:時事通信社)