全国に約53万カ所ある土砂災害危険箇所について、自治体が避難場所・避難経路について26%が住民周知されていないことが12月12日、国土交通省の調査で分かった。避難訓練を実施している割合も35%にとどまり、国交省は危険カ所の周知徹底や警戒避難体制の重要性を呼びかけている。

国交省は今年8月に発生し、74人が死亡した広島市の土砂災害を受け、9月に土砂災害危険箇所を有する全国の1594市町村において、警戒避難体制に関しての緊急点検を実施した。調査の結果によると、これまで危険性を1回でも周知したことがある危険箇所の割合は99%だったが、毎年周知している危険箇所の割合は55%。避難場所・経路を1回でも周知したことがある割合は74%で、毎年周知している割合は41%で、避難場所・経路を1回も周知していない危険箇所が26%あることがわかった。国交省は「(危険箇所について)概ね全カ所について、1度は周知しているものの、住民に十分伝わっていない可能性がある。(避難場所・経路について)1度も周知していない箇所がある」とする。

訓練に関する調査では、避難訓練を実施しているのは全体の35%。毎年、防災訓練を実施しているのは19%にとどまった。国交省は防災訓練の実施率の低さを指摘している。

国交省は今後、危険箇所や避難場所・経路について、住民の認識状況を踏まえたうえで、土砂災害防止月間や全国防災訓練を通じて継続的に周知を行うよう地方公共団体に働きかける。また地方公共団体への支援策として、国交省、消防庁において土砂災害を対象とした全国防災訓練の共同開催や、全国防災訓練の実施方針を見直すほか、先進事例集の作成・配布を予定している。

土砂災害危険箇所の行政の体制整備に係る緊急点検結果と対応方針について(国交省)
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000843.html