昭和大学江東豊洲病院。手前の運河に乗り入れる船からの電力供給も受けられる(提供:昭和大学江東豊洲病院)

IHIやSCSK、アスクルなど東京都江東区の豊洲地区にある20社で構成する「豊友会(ほうゆうかい)」は7日、今年度第1回の施設見学会を豊洲にある昭和大学江東豊洲病院で開催。病院の概要のほか、発電装置や免震装置など事業継続についての施設見学などを行った。

豊友会は豊洲地区にある様々な業種の20社が参加。BCP(事業継続計画)や帰宅困難者対策、防災、地域社会との情報交換についての取り組みで連携している。今回は豊洲地区最大の病院で、東京都指定二次救急医療機関、東京都災害拠点病院でもある昭和大学江東豊洲病院を見学することとなった。

病院の概要について説明

まずは病院の概要について昭和大学江東豊洲病院の石崎兼司(崎の右上の「大」は「立」)事務長が病院の概要について説明した。同院は昭和大学附属豊洲病院の後継として、2014年3月24日に開院。現在の病床数は309床で、最終的には414床となる見通し。かつて起こった「妊婦たらい回し」の解消へ江東区からの要請もあり、周産期医療を充実させている。

コージェネレーション発電システムで使用電力の3分の1を賄える

建設中の2011年に東日本大震災が発生。災害時の事業継続に注力しており、入院患者や職員の3日分の食料や2週間分の医薬品、飲料水は受水槽に245tが貯蔵可能なことなど備蓄について明らかにした。同病院はDMAT(災害医療派遣チーム)の拠点にもなっている。東日本大震災では昭和大学から延べ107人が被災地に派遣され、貢献したことも説明された。

3日分の燃料も備えている非常用発電装置

この後、14室ある手術室のほか事業継続に関する施設の見学を行った。コージェネレーション発電機はガスを用いて、最大で病院で使用する電力の3分の1をまかなうことができる。この発電機は非常時だけでなく、毎日稼働させており日常的な電力供給も担う。発電で生じる熱も熱源機械室で利用される。完全な停電やガスの停止があった場合に備えて、屋上にある非常用発電装置が稼働。1300kWの出力で、燃料となる3日分の重油を備えている。電気についてはさらに隣接する運河に乗り入れる船から供給を受けられる体制も整えている。さらに地震対策としては免震構造を採用。地下にあるゴム層やダンパーのほか、屋上にあるホバリング飛行で患者の受け入れが可能なヘリポートも公開された。

地下にある免震ゴム層とダンパー

豊友会では今後も加盟企業の防災・BCPや地域社会との情報交換などについての連携を深めるため、研修や見学などの取り組みを進めていく方針だという。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介