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安心、それが最大の敵だ
身の周りを水害から守るには
2016年夏、命拾いをした経験を語りたい。平日の昼前のことであった。雨が降る中、妻を最寄りの駅まで車(マイカー)で送った。帰り道、雨脚がたたきつけるような激しさになった。自宅まで約20分。車のワイパーを最大限動かしても、前方が滝のように流れ落ちる雨水にさえぎられて見えにくくなった。車の屋根をたたく音も一段と激しくなる。これぞ10年に1度の豪雨だな、と不安にさいなまれながら、車のスピードを落として走り続ける。
2017/12/04
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安心、それが最大の敵だ
カスリーン台風から70年~北上川流域総合開発の要、5大ダムと一関遊水地~
今年(2017)9月9日、岩手県一関市で開催された「水防災フォーラム・一関」に招かれて、「カスリン・アイオン台風、70年に思う」と題して基調講演を行った。(カスリン台風は通常「カスリーン台風」と表記される。本稿では東北地方の慣例に従って以下「カスリン」と表記する)。
2017/11/27
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安心、それが最大の敵だ
文豪漱石の博士号辞退と反権威主義
明治期以降の日本の作家のうち、一人挙げよと言われれば、私は躊躇することなく夏目漱石(1867~1916)を挙げる。私の敬愛する文豪漱石の小気味よい「反権力主義」「反権威主義」について考えたいと思う。
2017/11/20
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安心、それが最大の敵だ
戦前・戦後の2人の知性派都市計画家~その苦悩と実践~
工学博士・直木倫太郎著「技術生活より」(東京堂)は、土木学会が選定した「戦前土木名著100著」の中でも異色の書である。奥付によると同書は大正7年(1918)3月3日発行とあり、約100年前の刊行である。この「激烈」な「名著」は、土木技師としての日ごろの鬱々(うつうつ)たる苦悩や怒りを歯に衣を着せずにぶちまけた私憤の思索集である。なぜ技術専門書とはおよそ内容を異にする「異端の書」が戦前の名著100著に選定されたのだろうか。同書の背後に一貫して流れる氏の祈りのような技術者倫理を感じとらなければならないが、まずは著者直木倫太郎(1876~1943)の人生を略記する。
2017/11/13
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安心、それが最大の敵だ
江戸後期の農村改革先駆者、二宮尊徳と大原幽学~その栄光と苦悩~
私は<土の思想家・実践家>尊徳の70年間の人生と経験主義的思想に強く打たれるものがあり、「尊徳全集」や関連図書・論文などを読破し続け、同時にゆかりの地を訪ね歩いた。「尊徳の本がないのではない。ありすぎる位なのだが、その道に入らないと、読む気になれない本が多い」。作家・武者小路実篤は著書「二宮尊徳」の中で指摘する。確かに江戸後期の農政家・二宮尊徳(金次郎、1787 ~1856)を論じた図書や論文は、海外のものまで含めて枚挙にいとまがない。
2017/11/06
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安心、それが最大の敵だ
不屈の言論人、石橋湛山と桐生悠々を讃える
民主主義国家の原点は言論の自由である。イギリスの詩人ジョン・ミルトンが400年も前に「アレオパジチカ」で訴えたように。戦前、政府の過酷な言論統制により、言論の自由が圧殺されようとした。その時、敢然として軍部の横暴を批判し、言論の自由を貫こうとした新聞社やジャーナリストは決して多くはない(新聞が熱狂的な国民の戦争熱をあおり発行部数を増やしたことも歴史的事実である)。
2017/10/30
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安心、それが最大の敵だ
技術者の倫理~天才的土木技師・広井勇と恩師W・ホィーラー~
知識人としての技術者、なかでも土木技術者のあるべき倫理観(モラルバックボーン)を改めて問う。
2017/10/10
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安心、それが最大の敵だ
大洪水、十一面観音、白髭水
日本古来の大洪水と民間伝承(信仰)を考える。一昨年(2015)9月10日12時50分、茨城県常総市三坂町の鬼怒川左岸(東側)堤防が決壊した。堤防を切った濁流は、低地を求めながら常総市を中心に1万戸以上が床上・床下浸水させ、田畑は泥の海に没した。多数の住民が孤立し救いを求めた。
2017/10/02