社員の個人防災は事業継続に直結する
第6回:自宅の防災を考える
![本田 茂樹](/mwimgs/4/b/-/img_4b2149ab0c1ba0d07dcac4fb2ec3dc94113314.jpg)
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2025/02/13
これだけは社員に伝えておきたいリスク対策
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
地震や津波はいつ、どこで発生するか予測することはできません。ただ、過去の地震を振り返ると、1995年1月の阪神・淡路大震災、2011年3月の東日本大震災、そして2024年1月の能登半島地震で、寒い時期の被災によって多くの困難が伴うことなどの教訓が残されました。
いつ、どこで地震が起こるかわからないということは、自宅で被災する可能性も高いということになります。今回は、自宅における防災対策を考えます。
国は、防災基本計画の中で、防災対策で重要となるのは「自助」であるとして、一人一人が自分の身の安全を守ることが基本であると述べています。
企業の防災を考える上では、まず、多くの社員が会社にいる時間帯の災害を考えることになります。ただし、社員がより長い時間を過ごす自宅の防災対策を忘れるわけにはいきません。なぜなら、自社の建物や工場が無事であり、その中の機械が無傷であったとしても、そこで働く社員に大きな被害があったのでは、企業として存続することはできないからです。
過去の大地震では、倒れてきた家具の下敷きになってなくなったり、ケガをしたりする方が多く発生しました。「大地震が発生すれば、家具は倒れるもの」と考えて、防災対策を講じておきましょう。
タンス、食器棚や書棚などは、壁に固定します。また、開き戸がある場合は、開かないように留め金をつけ、またガラスが入っているものは飛散防止フィルムを貼ります。
書棚の場合、重い書籍は下の段に置くとともに、書棚の端の固い部分にひもやベルトを取り付けて飛び出さない工夫をします。
テレビは粘着マットの上に置いて転倒を防ぐとともに、テレビの裏側をワイヤーなどで壁やテレビ台などに固定するとよいでしょう。
大型家電である冷蔵庫は、その大きさと中身次第では100キログラムを超える場合もあり得るため、地震の揺れで倒れた場合は、たいへん危険です。また、狭い台所で倒れた場合は通路をふさぎ、避難が難しくなる可能性もありますので固定が重要です。
冷蔵庫の転倒防止対策としては、さまざまなものがありますが、冷蔵庫と壁をベルトで固定するタイプが効果的とされています。ベルトのタイプには、くぎやネジで固定するものから、粘着テープで固定するものまでいろいろありますが、壁にくぎやネジで穴をあけられない等、使えない場合もありますから注意しましょう。
自宅の中でも、最も無防備になるのは寝室にいるとき、つまり寝るときです。寝室では、次のような点が重要です。
・できるだけ家具を置かないようにし、家具を置く場合でもなるべく背の低い家具にする
・家具が倒れたときに、入り口をふさがないように、家具の配置を工夫する
・家具を置く場合は、転倒防止対策も講じる
・手の届くところに、懐中電灯、スリッパ、ホイッスルを置く(停電に備えて懐中電灯、割れたガラスなどの破片で足のケガを防ぐためにスリッパ、家具などの下敷きになった場合に救助を求めるためにホイッスル) など
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