もしも、長期停電だったら・・・

一方、ガスについては、プロパンガス使用のためガス供給に影響はなかったが、最も懸念したのが電力だ。今回停電は起きなかったものの、作業のほとんどを電気に頼っている。これまで瞬停に備えてコンピューター類にはUPS(無停電電源装置)を設置していたが、長期化には耐えられない。「10日以上止まる事態になれば、経営への大きな影響はさけられないと思います」と八島氏は危機感をにじませる。

水については、それほど多くの水を使わないため大きな影響はないが、八潮市内に自宅を持つ社員は今も少量のシャワー生活で節水生活を続ける。社員の疲弊についての心配もあるが「今も見つかっていない(転落した)運転手のことを考えれば仕方ない」と八島氏は語る。

防災・BCPの重要性と、協力会社への感謝

今回の事故を通じ、同社が改めて痛感したのは防災やBCPの重要性だ。これまでも飲料水は多めに備蓄していたが、下水が使えなくなる事態なども想定し、水道や下水が使用不可になった場合の対策を含め、今後さらに備えを強化していく方針だ。

水は平時から多めに蓄え、ローリングストックとして備蓄している

「うちはまだそれほど大きな被害はありませんが、現場周辺の会社さんはまったく仕事ができない状況になっています」(八島氏)。今後は、万が一、大きな災害や事故で工場が長期間使えなくなった場合の対策も考えていきたいとする。「うちの場合は賃貸物件なので、最悪のケースでは設備ごと移転すれば事業を継続することは可能です。こうしたことも改めて考えてみる必要あるかもしれません」(同)。

協力会社への感謝も忘れない。「協力会社の皆様から、『遅れても問題ない、頑張って』と励ましをいただき、本当に支えられていると感じました。これからも協力会社とお互いが成長・発展できる関係性を持ち続けたいと思います」と八島氏は話している。