2025/01/24
防災・危機管理ニュース
日銀の追加利上げで「金利のある世界」が一段と進展し、家計と企業への影響も拡大しそうだ。預金金利の引き上げなどでプラス影響が期待される半面、住宅ローンや企業向け融資の金利が上昇。多額の負債を抱えている場合などは負担が増す可能性もある。
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、政策金利が0.5%に引き上げられ、長期金利が1.25%程度に上昇すると、家計全体で年間約6000億円のプラス効果が生じる。預金や株式など金融資産の利回りが改善して収入が増えるためだ。
ただ、住宅ローンなど多額の負債を保有する世帯に限定するとマイナス影響が上回り、1世帯当たり年平均1.5万円の負担増となる。特に資産形成や住宅ローンの返済が途上にある若年層ほど影響が大きく、29歳以下で年平均4.3万円、30~39歳で同3.8万円負担が増える。
昨年7月の前回利上げ決定後、定期預金などの金利とともに、変動型住宅ローンの基準金利を引き上げた銀行も多い。今回の追加利上げを受け、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は基準金利の指標となる短期プライムレートを現行の1.625%から1.875%に引き上げると発表。ローン金利は今後さらなる上昇が見込まれる。
また、利上げに伴う金融機関からの借入金利の上昇は、物価高や人手不足で苦しむ中小企業の重しとなる。東京商工リサーチが昨年10月に行った企業アンケートでは、主要取引行から0.3%の金利引き上げを打診された場合、「他行へ調達を打診する」「借り入れを断念する」と回答した中小企業が約58.3%と半数以上に達した。
2024年の企業倒産は1万6件と11年ぶりに1万件の大台を超えており、「金利のある世界」の本格到来で債務削減や価格転嫁が進まない企業の資金繰りが悪化し、「息切れ倒産」が一段と増えることも懸念される。
〔写真説明〕日銀本店=東京都中央区
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。今回、石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年「いま」に寄り添う <西宮市>
西宮震災記念碑公園では、犠牲者追悼之碑を前に手を合わせる人たちが続いていた。ときおり吹き付ける風と小雨の合間に青空が顔をのぞかせる寒空であっても、名前の刻まれた銘板を訪ねる人は、途切れることはなかった。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年語り継ぐ あの日
阪神・淡路大震災で、神戸市に次ぐ甚大な被害が発生した西宮市。1146人が亡くなり、6386人が負傷。6万棟以上の家屋が倒壊した。現在、兵庫県消防設備保守協会で事務局次長を務める長畑武司氏は、西宮市消防局に務め北夙川消防分署で小隊長として消火活動や救助活動に奔走したひとり。当時の経験と自衛消防組織に求めるものを聞いた。
2025/02/19
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/02/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方