中小企業庁と特許庁が連携して中小企業が持つ知的財産権の保護に乗り出すことが3日、明らかになった。特許庁などが立ち上げた中小による知財活用を支援する官民の枠組みに中企庁が参画する。中企庁の「知財Gメン」や関係機関が把握した不適切な取引に関する情報を共有。関係機関が垣根を越えて連携し、発注元の大企業による取引先の特許侵害といった「下請けいじめ」を防ぐ。
 知財権を巡っては、発注企業が取引先に商品や技術の核となるデータの提供を求めたり、発注企業の指示で作った商品に対して特許侵害を申し立てられた場合に責任転嫁されたりするといった「下請けいじめ」が問題になっている。
 このため、2023年に特許庁や日本弁理士会、日本商工会議所などが発足させた「知財経営支援ネットワーク」に中企庁が参画。都道府県ごとに各機関の地域組織が構築した支援体制を活用して不適切な取引の実態を解明し、発注企業に対する改善要請や「下請けいじめ」防止に関する指針の策定などにつなげる。
 また、中小企業が知財権の取得・活用に使える補助金の案内など、商品・サービスの付加価値を高める取り組みも強化。中小の課題である人件費上昇のコストを吸収できる収益環境を整える。 

(ニュース提供元:時事通信社)