中小企業庁からの交付金を原資に、事業者のITツール導入費用を補助する独立行政法人「中小企業基盤整備機構」の事業について会計検査院が調べたところ、38事業者が虚偽申請するなどして補助金計約1億3600万円を不正受給していたことが21日、分かった。
 検査院によると、事業ではIT導入を支援する業者(ベンダー)が事業者のツール導入や補助金申請をサポートしている。不正受給は、ベンダーが虚偽の内容を基に申請手続きを代行したり、補助金交付の前後に事業者から支払われた費用の一部を返金したりする形で行われていた。
 不正に関与した5都府県のベンダー15業者は総額約58億円分の申請に関わっており、不正受給額はさらに膨らむ可能性があるという。
 検査院は、2020年度から3年間で約9万9900事業者に交付された補助金計約1464億2100万円について、同機構や事業者に聞き取り調査するなどしたところ、38事業者への計約1億3600万円が不正受給だったと確認。このほか、不正受給が疑われるケースも99事業者で計約2億9000万円分あった。
 ある事業者のケースでは、ベンダーが「自己負担額を上回る報酬が得られる」などと勧誘して、申請手続きを代行。売上高や従業員数を操作したり、偽造した預金通帳を提出したりして約922万円の補助金を受給させた。
 さらに、事業費用のうち約760万円を返金し、事業者は最終的に申請額より約178万円多く受け取っていた。
 検査院は中小企業庁と中小企業基盤整備機構に対し、事業者に不正受給した補助金を返還させるとともに、指導や監督を行うよう求めた。
 同庁の担当者は「指摘を受けたことは遺憾。厳正に対処し、審査の厳格化など対策を履行していく」と話した。 
〔写真説明〕会計検査院=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)