2024/09/15
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】バイデン米政権が、大企業のM&A(合併・買収)に厳しい視線を注いでいる。企業の市場独占を防ぎ、消費者や労働者を保護するのが狙い。企業間で合意した買収計画が破談に追い込まれた事例もあり、政権の姿勢が波紋を呼んでいる。
米メディアによると、2021年10月~22年9月の1年間に米連邦取引委員会(FTC)などが買収阻止を目的に、提訴を含む異議申し立てを行った件数は50件と、過去最多に上った。当局の対応に「企業の思わぬコスト負担が増える」(専門家)との批判が広がる。
今年3月には、米格安航空大手ジェットブルー・エアウェイズが同業スピリット航空の買収を断念した。連邦地裁は統合により競争を阻み、運賃が上昇すると判断。提訴した司法省の主張を支持した。スピリットの経営状況は苦しいままで、成長戦略を描けない状態が続く。
バイデン氏退任後も、大企業のM&Aにメスを入れる体制が続くとの観測が浮上する。同氏の後継として大統領選に挑む民主党のハリス副大統領も現政権の路線を引き継ぐとみられる。共和党は本来企業寄りの立場だが、副大統領候補のバンス氏は、巨大企業の市場独占に強硬な姿勢を取るFTCのカーン委員長を称賛。米ブルームバーグ通信は、トランプ政権が誕生した場合、想定以上にM&Aの審査が厳しくなるとの見方を紹介した。
米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測を背景に長期金利が低下し、資金の調達環境が改善に向かう中、「M&Aの動きは加速している」(米金融大手首脳)。ただ、当局が厳しい姿勢を貫けば、大企業が投資を手控えてM&Aの機運が弱まるとの見方もくすぶる。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- M&A
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方