(日向灘を震源とする地震の震度分布:気象庁発表)

2024年8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。南海トラフ地震臨時情報に関する解説と対策のポイントについて説明します。

■事例:南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表

8月8日(木)16時43分、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震で、宮崎県日南市で最大震度6弱を観測、宮崎県や鹿児島県を中心に広い地域で震度5弱以上の揺れが確認されました。この地震の発生に伴って、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられたことから、8月8日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。

企業の危機管理担当であるAさんは、「南海トラフ地震臨時情報」という言葉に戸惑いを覚えました。聞いたことはあったものの、具体的に何を意味するのかはっきりと理解していませんでした。調べてみると、南海トラフ地震に関連して気象庁が発表する異常現象に対する警告であることがわかりましたが、「巨大地震注意」という言葉の意味も良く判っていませんでした。経営陣からは、従業員に対して適切な指示を出すよう求められましたが、Aさん自身が何をすべきか理解していませんでした。

社内では同僚たちも同様に混乱していました。ある社員からは「仕事をしていても大丈夫なんですか?」と尋ねられ、別の社員は「家族に連絡を取るべきですか?」と心配そうに聞いてきました。それに対して、Aさんは何も答えることができませんでした。

「このままでは、パニックを引き起こすことになるかもしれない・・・」とAさんは思いましたが、どのように対処すべきかが全くわかりません。避難指示を出すべきか、業務を一時停止すべきか、それとも冷静に通常業務を続けるべきか――どの選択肢が正しいのか、Aさんは判断がつきませんでした。

南海トラフ地震臨時情報は、1週間後の8月15日17時をもって、政府としての特別な注意の呼びかけは終了されましたが、Aさんは今、自問しています。
「南海トラフ地震臨時情報が何を意味するのか、本当に理解していたのだろうか?その情報に対して、社員たちにどのような指示を出すべきか?また、企業として何を準備するべきか?」

今後、同じように南海トラフ地震臨時情報が発令された際の対処方法について、準備を進めなければならないと考えています。