2024/08/15
防災・危機管理ニュース
生成AI(人工知能)による「フェイク(うそ)ニュース」を見破るため、電機大手などが技術開発を急いでいる。AI自身がつくり出す偽情報「ハルシネーション(幻覚)」も社会問題化。世界的に法規制の流れが強まる中、急速な普及で表面化する課題の解決に力を入れている。
日立製作所はこのほど、生成AIが作成した文章かどうかを見分ける技術を開発した。複数の類義語の中から、AIの使用が判別できる単語を、お札の偽造防止技術になぞらえた「透かし」として設定。この単語が多用されていれば、AIによる「透かし入り」の文章と見なす仕組み。
「透かし」を多重に設定することで判別の精度を高める。プログラミング言語を含め、さまざまな言語にも対応可能だ。こうした「電子透かし」技術は、画像や動画でも開発・導入が進んでおり、先端AIイノベーションセンタの永塚光一氏は「各国で法規制が急速に進んでいる。生成元を示す技術の開発は加速しそうだ」と話す。
富士通が開発したのは、生成AIの回答の根拠を抽出・検証し、矛盾点を提示する技術。例えば、道を渡ろうとする人の画像から、AIが道路交通法違反を見つけ、それが間違っている可能性がある場合、矛盾点を示しながら「ハルシネーションが疑われます」などと指摘する。
同社はこのほか、SNSに投稿された文章や画像などからフェイクニュースの検知や社会的影響度を評価する技術も、2027年度までに開発する方針だ。
生成AIを巡っては、フェイクニュースを選挙や被災地で悪用する例が世界中で頻発。このため欧州連合(EU)では5月、生成AIを包括的に規制する「AI法」が成立した。日本政府も今月から法規制の議論に着手、早ければ来年の通常国会に関連法案の提出を目指している。
〔写真説明〕日立製作所が開発した、生成AI(人工知能)の文章に「透かし」を入れる技術のデモ画面(同社提供)
〔写真説明〕富士通が開発した、生成AI(人工知能)が誤った情報を作り出す「ハルシネーション(幻覚)」の有無を判定する技術のデモ=6月4日、川崎市
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方