2日の東京株式市場は、プライム市場銘柄の99%が下落する文字通りの全面安となった。米国の経済指標の弱さに加え、日銀の追加利上げをきっかけに円高が進み、「円安による業績上振れが期待しにくくなった」(銀行系証券)ことも売り材料。「人工知能(AI)ブームの反動」(大手証券)との見方もある。
 これまでの株価の上昇を支えたのは、生成AIブームに伴い半導体需要が増加する、との思惑だった。東京市場では昨秋以降、東京エレクトロンやレーザーテックなど半導体に関わる銘柄が大きく買われ、日経平均は先月半ばには4万2000円台まで駆け上がった。
 しかし、米国ではAIブームの代表格エヌビディアの株は先月以降、下落基調をたどっている。マイクロソフトは8月1日、4~6月期の売上高が四半期として過去最高になったと発表したが、同日の時間外取引で株価は急落した。
 7月31日には日銀が追加利上げを決定。利下げに向かう米連邦準備制度理事会(FRB)との方向性の違いが鮮明になり、歴史的な円安局面は円高に反転した。日銀の姿勢が想定よりタカ派だったことも、「日本株で運用しようという海外投資家の意欲を冷やした」(銀行系証券)。
 「振り子と同様、大きく動いた相場が落ち着くには時間が必要」(中堅証券)とされ、当面、振れ幅が大きい不安定な相場が続くとみられる。ただ、FRBの利下げは米国景気には追い風。AIの利用拡大による半導体需要の増加というシナリオも消えておらず、「『スピード違反』の修正が終われば、日経平均は再び最高値を試す」とみる関係者もいる。 

(ニュース提供元:時事通信社)